宮城県議会文教警察委員会の県外調査へ行ってまいりました(愛知県、岐阜県可児市、長野県飯田市、東京都)

平成31年1月28日から本日1月30日までの3日間、
宮城県議会の文教警察委員会の県外調査ということで、

超党派の県議で愛知県、岐阜県可児市、長野県飯田市、東京都の
先進的取り組みについて調査に行ってまいりました。

三日間で中央道を名古屋から東京まで
バスで横断するというハードスケジュールでありましたが、
各地の先進事例を様々インプットすることができました。

今回は、教員の多忙化、主権者教育、
民俗芸能継承、警察幹部教育などのテーマで、
得るものが多くあったように感じます。

視察受け入れにご協力いただいた機関の皆様に感謝申し上げ、
今後の宮城県の政策に反映させていきたいと思います。

文教警察委員会で取り組む政策分野は、
教育と警察、わかりやすいわけですが、
住民の身近にありながらなかなか課題解決が容易でない分野であるとも感じています。

しっかり取り組んでまいります。

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●愛知県
「『教員の多忙化解消プラン』に基づく学校における業務改善の取組について」

●岐阜県可児市
「地域課題解決型キャリア教育の取組について」

●長野県飯田市
「南信州における民俗芸能継承のための取組と成果について」

●警察大学校(東京都府中市)
「警察大学校の概要について」

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まずは愛知県の、「教員の多忙化解消プラン」
に基づく学校における業務改善の取組について、うかがいました。

●愛知県
「『教員の多忙化解消プラン』に基づく学校における業務改善の取組について」

⇒ 「教員の多忙化解消プラン」の策定について(愛知県教育委員会)

教育をめぐる課題は、いじめ・不登校をはじめとして、
部活動の問題など課題が山積しており、
その一つ一つを解決すべく、昨年は私も、
宮城県議会で制定したいじめ防止条例の審議に関わったり、
一般質問でも教育分野については重点的に取り組んできたところです。

しかし課題解決のための手法は市町村、
あるいは都道府県だけでできることには限界があるように最近感じているところです。

国をあげて教育の課題を根本的に変えていかなければいけない
時期に来ているのだろうと思いますし、
中教審の審議においても教育の世界に大きな変化を起そうとする動きを感じます。

そんななか、愛知県教育委員会においては、
教員の多忙化を解消するべく、4つの取組を進めているとのことでした。

1、長時間労働の是正に向けた在校時間管理の適正化
2、業務改善に向けた学校マネジメントの推進
3、部活動指導に関わる負担の軽減
4、業務改善と環境整備に向けた取組

主としてこの4点、
まず1ですが、県立学校5校でICカードと読み取り機を試行設置し、
出退勤記録の電子化をすすめ、まず正確に実態を把握する取組が進められています。

また3では、単独で指導、引率ができる「部活動指導員」の配置を実施、
県立高校12校でモデル配置、配置を希望する市町村への補助を実施しているとのこと。

部活動指導員は、教員免許を持ち、部活動指導歴のある元教員が多いとのことで、
平成30年度は1500万円の予算措置とのことでした。

また4では、県立学校3校(取組実践検証校)と県内1市町村を対象に、
民間コンサルタントを派遣、
教員の業務内容を洗い出し、学校における具体的な業務改善を推進しているとのことです。

教員の多忙化を解消するため、
愛知県では様々な取組を実施しているようです。

宮城県はもちろん各県で多忙化解消のための工夫をしていますが、
まず仕事の洗い出しをしたうえで、
必要な業務と外部委託できるものは何かを見ていくことが必要です。

気をつけなければいけないのは、
これは教員だけではなくあらゆる仕事がそうだと思うのですが、

「多忙化解消」だけが目的になってしまうと、
仕事の質が低下し本来為すべき仕事がなされず、
子供たちをめぐる問題の解決どころか事態が悪化してしまうこともあるということです。

●岐阜県可児市
「地域課題解決型キャリア教育の取組について」

可児市が進めている「地域課題解決型キャリア教育」、「主権者教育」について、
川上文浩 前可児市議会議長よりご説明をいただきました。

来年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」で描かれる、
明智光秀のゆかりの地ということ、
また名古屋に近いベッドタウンということで、
勢いのあるまちという印象がありました。

可児市議会は議会改革に熱心に取り組まれており、
議会と若い世代との交流サイクルをつくっています。

また、一般質問からの委員会所管事務調査への追加、
ママさん議会からの施設への提言・要望、
議会BCPの策定、

また予算決算委員会からの当初予算に対する附帯決議から
日本初のいじめ防止条例の制定、委員会代表質問などなど、
積極的な議会の動きの中で、

可児市が抱える地方都市の悩みとして、
「若い世代の都市部流出」があったのだそうです。

そこで大人と若い世代(高校生)がつながり、
若い世代に可児市の魅力を知ってもらい、
ふるさと発展に寄与する人材育成をするため、
この地域課題解決型キャリア教育が生まれたようです。

子ども議会では小学6年生に議会体験をしてもらい、
実際に以下の四政策を示し、
財政難のなかどの事業を廃止するか意見を出し合い最後に採決を行っているのだそうです。

1、こども医療費助成の廃止
2、お年寄り向け無料バスの廃止
3、市立図書館の廃止
4、市民温水プールの廃止

小学生も真剣に議論し、4番の温水プールを廃止し、
プールは夏だけにしたらどうかと採択されたそうです。

また地元の可児高校と連携し、
若い世代の意見を聞く高校生議会も開催、

さらには地域包括支援センターと連携し、介護事例を題材に、
多職種間連携教育(IPE)を議員を交えて実施しているとのことです。

また地元医師会の協力を得て医師と議員と高校生が健康づくりをテーマに意見交換、
金融協会の協力を得て同様にまちづくりについて意見交換、
商工会議所と連携して同様に「企業が求める人材・高校生が求める企業」で意見交換をしています。

また若者の投票率がなぜ低いのかを考え、
高校生の段階でも「人を選ぶ」という経験がない、
どうやって選んだらよいのかということで、

可児高校で模擬選挙を実施、マニフェスト作成争点案の抽出に高校生が参加、
模擬選挙では候補演説会も開催、選挙公約を見ながら演説を聞き、
本物の投票箱投票用紙で模擬選挙を実施しました。

私は以前に日本JC(青年会議所)に所属していたときに、
主権者教育の事例として話をうかがったことがあり、
また全国都道府県議会議員の研修でも同様の話をうかがっていたのですが、

あらためて実際に取り組んでいる方のお話をうかがって、
これはまだ全国的に広がってはいないけれども、
重要なテーマの一つであるなと感じたところです。

政治は遠い世界のもの、
また自分には関係ないものと感じている若い世代が、
だんだん年齢を経て、
その感覚がそのままになっているのが現代であるようにも感じます。

前回の宮城県議選若林選挙区の投票率は約31%でした。
私が選ばれた選挙には有権者の3分の1しか投票をしていない、
そんな選挙でした。

若い世代が選挙に足を運び、
まちづくりに関心を持つようになれば、
そのまちはまちがいなく活性化します。

そう考えると非常に重要な取組だと感じるところです。
応用して宮城県でも生かしていきたいと思います。

●長野県飯田市
「南信州における民俗芸能継承のための取組と成果について」

南信州は民俗芸能が盛んであり、
それは日本民俗学の創始者である柳田國男が、
元飯田藩士柳田家の養嗣子にあたることもあり、

また貴重な民俗芸能が現在も多くあり「民俗芸能の宝庫」と呼ばれています。

しかし少子高齢化による後継者不足から、
民俗芸能が失われてしまうという危機感があり、

平成27年に、南信州の民俗芸能の継承団体、
市町村、広域連合、県が連携し「南信州民俗芸能継承推進協議会」を設立、
地域をあげた取組が行われています。

さらには8年後に、リニア中央新幹線の新駅が飯田市に設置されるとのことで、
名古屋まで20分、東京まで40分という現在の地政学的位置づけが激変することが予想されています。

長野・飯田が注目される土地になることは間違いありません。

行政が連携してこうした民俗芸能の継承に携わる
というのも素晴らしいと思うところですが、

さらに「南信州民俗芸能パートナー企業制度」を実施し、
こうした芸能の取組に協力し、支援いただける企業を県が登録し、

企業と芸能団体をつなぐ役割を果たしているとのことです。

宮城県内にも民俗芸能がたくさんありますが、
それを支える仕組みはちょっと弱いかなと感じます。

こうした取組は伝統文化を維持していくうえでも一つの手法ですね。

●警察大学校(東京都府中市)
「警察大学校の概要について」

最後は東京都府中市にある警察大学校を訪問。
全国の都道府県警察の幹部警察官、幹部教養の中心施設です。

サイバーセキュリティ対策、
国際化対応のための語学教育、
逮捕術、ぞれぞれの実際の講義の現場を見せていただきました。

ここは詳細をオープンにはできないところであると思いますので、
詳しくは述べませんが、
犯罪内容の変化に対応するためには、
先手を打っていくことが重要であると感じます。

制度や予算面で支援をしていくことで、
結果として住民の生命と財産の維持が図られると考えれば、
先進的な取組を警察が担っていかなければなりません。

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今回も密度の濃い視察調査でした。

中央高速道を名古屋から東京へということで、
行程はバス移動で体力的にはなかなかきついものがありましたが、
得られた知見は大きかったと感じます。

いずれにしても、
三日間密度の濃い活動でしたが、

宮城県に持ち帰り、
宮城県なりの政策提案をすることが私の仕事でもありますので、

今後の政治活動の糧としていきたいと思います。

お忙しいところ、
お時間をいただき視察を受け入れていただいた皆様に
あらためて感謝申し上げます。

ありがとうございました。