「先端研究施設・設備等の整備・共用・高度化」について─SPring-8、NanoTerasu、国際リニアコライダー(ILC)等

 

 

令和8年第10回経済財政諮問会議(内閣府)
「経済財政運営と改革の基本方針 2026 原案」(令和8年6月30日)
⇒ https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0630agenda.html

 

令和8年6月30日、内閣府の第10回経済財政諮問会議において、
「経済財政運営と改革の基本方針2026 原案」、
いわゆる「骨太の方針」の原案が示されました。

 

骨太の方針は、令和9年度の政府予算、
またそれ以降の政策形成の基本となる重要な文書です。

毎年、この骨太の方針をもとに各省庁の概算要求が行われ、
政府予算案がつくられていくことになります。

したがって、この骨太の方針に何がどのように書き込まれるかは、
これからの日本の政策の方向性を大きく左右するものと言えます。

 

7月1日午後1時から、自民党の政調全体会議が開催され、
約3時間にわたって、各政策分野について議論が行われました。

非常に多くの議員から発言があり、
多岐にわたる分野の課題を改めて知る機会にもなりました。

私からは、先端研究施設の整備・共用・高度化について発言し、
兵庫県のSPring-8、仙台市のNanoTerasu、
そして東北を挙げて誘致活動を進めている国際リニアコライダー(ILC)について、
骨太の方針にしっかり位置づける必要がある
と訴えました。

 

現在の骨太の方針原案では、30ページに、

「先端研究施設・設備等の整備・共用・高度化」

についての記述があります。

SPring-8、NanoTerasu、スーパーコンピュータ「富岳」等は、
AI・半導体、創薬、マテリアル、量子、エネルギーなど、
政府の成長戦略で掲げられている17の戦略分野を支える基幹インフラです。

最先端の研究施設は、単に研究者のためだけにあるものではありません。

新しい薬を生み出すこと、
次世代半導体の開発を進めること、
革新的な材料をつくること、
エネルギー技術を高めること、
そしてわが国の産業競争力を強化することに直結する、
まさに国家の未来を支える基盤です。

特に兵庫県にあるSPring-8は、
日本の研究力を長年支えてきた象徴的な施設です。

2025年にノーベル化学賞を受賞された北川進先生の研究においても、
共同実験を含め100回以上活用されたとされており、
日本の基礎研究と応用研究の力を示す重要な存在であると思います。

私自身も、かつてSPring-8を現地視察したことがありますが、
その施設の規模、研究水準、そして産業界への波及効果の大きさに強い印象を受けました。

一方で、SPring-8は1997年の共用開始から25年以上が経過しており、
施設の老朽化や国際的な性能競争への対応は待ったなしの状況です。

世界では次世代の放射光施設の整備が進んでおり、
日本としてもSPring-8の高度化を着実に進めていかなければなりません。

また、仙台市にあるNanoTerasuは、
2024年4月に運用を開始した、
わが国の新たな3GeV高輝度放射光施設です。

SPring-8の高度化と、NanoTerasuのビームライン整備を進めることは、
わが国の放射光研究基盤を強化する車の両輪であると考えます。

 

さらに、東北にとっても、わが国の科学技術立国にとっても、
国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現に向けた取組は極めて重要です。

ILCは、宇宙の成り立ちや物質の根源に迫る、次世代の国際大型研究プロジェクトです。

もちろん、国際的な費用分担や国内理解の形成など、
乗り越えるべき課題はあります。

しかし、日本が科学技術立国として世界をリードし、
東北が国際的な研究拠点として発展していくためにも、
ILCの誘致実現に向けた道筋を前に進めていく必要があります。

骨太の方針原案における「先端研究施設・設備等の整備・共用・高度化」の記述は重要ですが、現時点ではやや一般論にとどまっている印象もあります。

 

そこで私は、SPring-8、NanoTerasu等の重要性をしっかり明記していただくとともに、ILCをはじめとする次世代国際大型研究拠点の誘致・実現に向けた取組についても、政府方針の中に位置づけるべきであると発言しました。

ほかにも発言したいテーマはたくさんありました。

しかし、数百人の自民党議員がいるなかでの会議ですので、
一人に与えられる発言時間は限られています。

今回は、1分ほどの発言ではありましたが、わが国の将来を左右する戦略分野を支える基幹インフラとして、先端研究施設の整備・高度化の重要性を訴えました。

先端研究施設への投資は、単なる研究予算ではありません。

AI・半導体、創薬、マテリアル、量子、エネルギーなど、これからの日本の産業競争力と経済安全保障を支える国家投資です。

東北、宮城、仙台の視点からも、NanoTerasuの機能強化、ILC誘致の実現に向け、しっかりと声を上げてまいります。

そして、令和9年度予算編成にも反映されるよう、
引き続き取り組んでまいります。

 

 

(第5769号 令和8年7月1日(水))