憲法を守るために、憲法を議論する

令和8年5月3日、
民間憲法臨調・美しい日本の憲法をつくる国民の会主催による「第28回公開憲法フォーラム」に参加しました。
会場は東京・平河町の砂防会館、シェーンバッハ・サボー。
高市早苗自民党総裁のビデオメッセージに始まり、櫻井よしこ代表の基調提言、そしてシンポジウムでは、新藤義孝自民党憲法改正実現本部事務総長、日本維新の会の阿部圭史衆議院議員、国民民主党の玉木雄一郎代表がパネラーとして参加されました。
また、声明文は日本青年会議所の菅原啓太副会頭(仙台JC)が発表されました。
私自身、10年以上前に日本青年会議所へ出向し、憲法論議を推進する委員会で活動したことを思い出しました。当時も、憲法をどう考えるか、国のかたちをどう次の世代へつないでいくかという議論に、熱気がありました。
そして今回のフォーラムにも、東京会場で850名、全国各地の中継会場を含めて1万3千人を超える方々が参加されたとのことです。
憲法に対する国民的関心の高さを、あらためて強く感じました。
憲法は、国家の基本法です。
したがって、憲法改正の議論は、単なる政局や一時の空気で進めるべきものではありません。
賛成であっても、反対であっても、まずは国民一人ひとりが内容を知り、論点を理解し、国会で正面から議論を尽くすことが大前提です。
しかし同時に、私は、いまこそ憲法改正の具体的な議論を前に進めるべき時期に来ていると考えています。
日本国憲法が施行されたのは昭和22年、1947年です。
そこからすでに79年が経過しました。
この間、日本を取り巻く環境は大きく変わりました。
安全保障環境はかつてないほど厳しさを増しています。
大規模災害、感染症、サイバー攻撃、偽情報、宇宙・海洋・エネルギー安全保障など、憲法制定当時には十分に想定されていなかった課題が次々と生まれています。
少子高齢化、地方の人口減少、デジタル社会の進展、教育や家族、地域共同体のあり方も大きく変化しています。
こうした時代の変化に対して、国家の基本法である憲法が何も変わらなくてよいのでしょうか。
私は、ここに大きな問題意識を持っています。
もちろん、憲法は簡単に変えてよいものではありません。
しかし、世界の民主国家を見れば、憲法改正は決して特殊なことではありません。
アメリカ合衆国憲法は、建国以来27回改正されています。
ドイツの基本法は、戦後75年の間にすでに60回を超える改正が行われています。
フランス第五共和制憲法も、1958年の制定以来、25回の改正を重ねています。
インドでは、2023年に第106次憲法改正法が成立しています。
韓国も1948年の憲法制定以来、9回の憲法改正を経験しています。
オーストラリアは国民投票による厳格な手続きを持つ国ですが、それでも1901年の施行以来、8回の改正が成立しています。
このように見ると、憲法を大切にすることと、憲法を一切変えないことは同じではありません。
むしろ、国の基本法だからこそ、時代の変化に応じて、国民自身の意思で見直していく。これこそが、立憲主義と民主主義の本来の姿ではないでしょうか。
憲法改正とは、現行憲法の価値を否定することではありません。
国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という大切な原理を守りながら、いまの時代に合わなくなった部分、あいまいなまま残されてきた部分、国民の生命と財産を守るうえで明確にすべき部分を、国民自身の手で見直していく作業です。
特に、自衛隊の明記、緊急事態への対応、教育環境の充実、地方自治のあり方などは、避けて通れない論点です。
東日本大震災を経験した宮城県民の一人としても、
私は、非常時に国と地方がどのように連携し、国民の命を守るのかという制度設計は、極めて重要だと考えています。
平時には議論を先送りし、有事になってから慌てる。
これでは政治の責任を果たしたことにはなりません。
そして、日本国憲法第96条は、憲法改正について、各議院の総議員の3分の2以上の賛成による国会の発議と、国民投票による承認を定めています。
つまり、当たり前のことですが、憲法改正を議論することは、憲法に反することではありません。
むしろ、憲法に則って、主権者である国民の意思を明らかにする民主主義のプロセスです。
大切なのは、国会が責任を持って具体的な条文案を示すことです。
抽象論だけでは、国民は判断できません。
賛成か反対かを問うためにも、まずは具体的な案を示し、何をどう変えるのか、変えた場合に何が変わるのか、変えない場合にどのような課題が残るのかを、分かりやすく説明していく必要があります。
憲法は、政治家だけのものではありません。
国民一人ひとりの暮らし、命、自由、権利、そして次の世代の未来に関わるものです。
だからこそ、憲法改正の議論を避けるのではなく、正面から向き合うべきです。
私は、憲法を大切に思うからこそ、いまの時代にふさわしい憲法のあり方を、みなさんとともに考えていきたいと思います。
「変えてはいけない」のではなく、
「何を守り、何を変えるのか」。
この問いに、政治が責任を持って答える時期に来ています。
賛成、反対、さまざまな意見があって当然です。
しかし、議論を深め、国民投票によって民意を明らかにする。
そのプロセスを、日本国憲法に則って、正々堂々と進めていくことが必要です。
憲法を未来へつなぐために。
そして、強くてやさしい日本を、
次の世代に引き継ぐために。
私も引き続き、分かりやすく、丁寧に、
憲法改正の必要性を訴えてまいります。
(第5710号 令和8年5月3日(日・憲法記念日))