東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授から 最新の新型コロナウイルス感染症対策について情報をいただきました
本日4月14日、
宮城県議会自由民主党・県民会議の
医療福祉議員連盟勉強会が開催され、
テレビでもおなじみの東北医科薬科大学医学部、
賀来満夫特任教授をお招きし、
新型コロナウイルス感染症の現状と今後の対応について、
中国や欧米の症例について最新の情報をお話いただきながら、
感染予防のポイントと課題についてうかがいましたので、
皆さんにシェアしたいと思います。
世界各国の最新情報を参考にしながらも、やはり最後は、
「手洗いをしっかりすること」と、
「マスクをすること」、
「3密を避けること」
といった基本的なことをしていれば、
コロナウイルスにはかからない、
というお話でした。
日々情勢が変わっていくなかで、
こうした専門家の先生のお話を聞くことは、
政策形成や判断の場で非常に重要になってきているところです。
以下、賀来先生の講義、まとめです。
●中国での新型肺炎の発表、第1報は、2019年12月31日。
●WHO緊急事態宣言は、1月31日。
●クルーズ船で感染者確認、乗員乗客は3711人。
●日本の感染者数は諸外国に比べると少ない。
●致命率も国外6.3%に対し、国内1.4%。
●新型コロナウイルス対策ダッシュボードを確認。
●SARSの致死率9.6%、MERSの致死率34.4%に対し、新型コロナウイルスの致死率6.3%と低い。
●致死率は低いが、患者数が非常に多いのが特徴。
●男性の症例が多い。基礎疾患がある人も32%。
●中国初期の症例から12月以前に広がっていた可能性。
●1月の武漢の症例から、年齢中央値は56歳、発熱、疲労感、乾いた咳、院疼痛、下痢。
●中国の44,672の確定例から、致命率は10代から30代は0.2%、70代8%、80代以上14.8%。
●中国の44,672の確定例から、致命率は心疾患が10.5%、糖尿病が7.3%、慢性呼吸疾患が6.3%。
●中国・WHOチームの解析(2月20日までの55,924人の解析)から、
・症状は、発熱87.9%、せき67.7%、倦怠感38.1%。
・潜伏期は平均で5日から6日。
・感染者のおよそ80%は症状が比較的軽い。
・重症や四坊のリスクが高いのは60歳を超えた人や高血圧や糖尿病、それに循環器や慢性の呼吸器の病気、がんなどの持病のある人。
・子供の感染例は少なく、症状も比較的軽い。
・19歳未満の感染者は全体の2.4%で、重症化する人はごくわずか。
●我が国における事例561例(国立感染症研究所2020年3月23日)
・男女比は1.2:1
・中央値は60歳。
・症状は、発熱79%、咳76%、肺炎63%、全身倦怠感47%、咽頭痛29%、
鼻汁・鼻閉25%、頭痛24%、下痢19%、関節・筋肉痛14%、嘔気・嘔吐6%、
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)4%、結膜充血2%
・無症状病原体保有者18%、無症状のままの症例8%
●注意すべき症状は、長引く風邪症状とともに、
「におい・味がしない」「鼻炎症状」「下痢」「吐き気・嘔吐」
●新型コロナの潜伏期多くは5-6日、新型インフルエンザは1-3日。
●2回連続でPCRが陰性になるまでの日数は平均9日。
●新型コロナウイルス感染症の典型的な臨床経過は、
・軽症の場合、発症から軽快まで7日、通常の風邪が長引く(発熱37.5度以上、咳)。80%以上。
・重症化の場合、発症から呼吸苦まで7日でありこのころは通常の風邪と変わらないが、10日で入院、一部は集中治療へ。
・軽症は約80%、重症は5-7%。
●感染予防のポイントは、「3密をさける」「基本的な予防(手洗い・マスク・消毒・換気)」
●厚生労働省専門家チームの解析によれば、
・感染拡大は空気がよどみがちな閉じた環境。
・感染した人の75%はほかの人にはうつしていない。
・次々と感染が広がったのは、ほとんどが空気がよどみがちな閉じた環境
●3密とは、「換気の悪い密閉空間」「多数が集まる密集場所」「間近で会話や発生をする密接場面」
●感染が広がりやすい環境は、換気量が増大するような活動。大声を出す。歌う。1対複数の密接した接触。多くは咳やくしゃみがあるわけではない。
●コロナウイルスのうつりかた。飛沫と接触。
●接触は、手で感染した人の粘膜・唾液・痰を感染した人が触った物などを触れて、その手で口や鼻、眼に触れる。
●マスクの効用。マスクをつけると、咳やしぶきが広がること、鼻や口に直接ついたり吸い込むこと、をかなり防ぐことはできる。
●米国CDCもマスク着用を推奨。
●コロナウイルスの入り口は、鼻・口・眼。
●手洗いは感染対策の基本。石鹸と流水でも十分。
●間接接触感染に注意。多くの人の手の触れる個所や体液が付着しているところなどを消毒する。
●換気の重要性。部屋の中のウイルスの数を下げることを心がける。窓をこまめにあけ、空気の入れ替えを。
●感染予防のポイント。飛沫感染⇒マスクの着用、換気。接触感染⇒手洗い、環境消毒。
●緊急事態宣言の発令。感染例急増の抑制、医療崩壊の阻止。
●国民への要望として、「3密をさける」「人との接触8割減」「外出は1回」
●感染が拡大した際の医療体制。地域での感染拡大を想定しての医療体制の構築。
●地域医療圏での役割分担・連携協力。
●宮城県はホテルなど約200室を借り上げ、感染症指定医療機関、協力病院合わせて260人以上の搬入先を確保。
●院内感染対策への支援。感染症の専門家による支援、院内講習会の開催支援。
・医療物資の絶対的不足、マンパワーの不足、ハード面の課題、検査の限界。
そのほか、口頭で様々な情報を教えていただき、
最新かつ基礎的な情報は入ったように感じます。
今後さらに症例が増えると見えてくるものもあるでしょうし、
必要な対策も出てくるものと思います。
医療従事者の皆様にはたいへんなご努力をいただいていることに感謝しながら、
なんとかこの状況を打破するために、
私自身もできることを精一杯努めてまいりたいと思います。
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こんな状況の毎日ですが、
このメルマガも本日で3,500号を迎えることになりました。
毎日読んでくださる読者の皆様にあらためて感謝するとともに、
この新型コロナウイルスに勝つために、
みなさんとともに頑張っていきたいと思っているところです。
( 第3500号 令和2年4月14日(火)発行 )