宮城県議会自民会派で県外調査―島根県、新潟県

私が所属している宮城県議会の会派、
自由民主党・県民会議で、4月23日から25日にかけて、
県外の先進事例等調査視察に行ってまいりました。

他県の先進事例は政策形成やビジネスのヒントにもなりますので、
皆さんにシェアしていきたいと思います。

●島根県庁(島根県松江市)

中国電力の島根原発は、
2号機が今年の8月に再稼働をすることが発表されており、

島根県防災部原子力安全対策課、総務部税務課の皆様から、

「原子力災害時の避難計画について」
「核燃料税交付金について」

現状をご説明いただきました。

制度としては、宮城県とほぼ同様のものであると感じましたが、
島根原発は島根県庁との距離が約8.5kmと県庁自体がUPZ内にあるということで、
お隣の鳥取県米子市、境港市もUPZ内というのは、
他県でも見られない状況のようです。

この原発は、都道府県庁所在地に立地する唯一の原子力発電所となっています。

そこで島根県では原子力災害時には広島県、岡山県など県外にも避難先を確保しており、
平時から他県との連携を進め、他県での避難訓練も実施しているとのことです。

●中国電力島根原子力発電所(島根県松江市)

実際に、中国電力の島根原子力発電所にも伺い、ご説明をいただきました。
この原発は、沸騰水型軽水炉を採用しており、
中国電力で唯一の原子力発電所となります。

全国で3番目に設置された原発であり、
1号機は日立による国産の原子炉第1号ともなっています。

2号機は今年8月に再稼働するということですが、
新規制基準を踏まえた安全対策工事を実施中の3号機の内部を視察することになり、
原子炉格納容器内まで足を運び、その内部の状況も詳細にご説明をいただきました。

2号機再稼働により、燃料費削減効果は年間800億円になるとのことで、
中国地方の電気料金低下が期待されますし、

3号機も併せて稼働することになれば、
CO2排出量の約27%が削減可能になるとのことです。

3号機は、平成24年(2012年)3月に運転開始予定であり、ほぼ完成をしていましたが、
現時点でも今後の運転は未定となっています。

また、安全対策では、

地震820ガル、最大津波高さ11.9m、竜巻最大風速秒速92m、
三瓶山の噴火による火山灰層厚56cm、大型航空機の衝突など

を想定しており、かなりのシミュレーションがなされているようでしたが、
太平洋と違い日本海側の津波想定は低いようで、
女川原発の防波壁に比べると物足りなさを感じる高さではありました。

東日本大震災における原子力発電事故は、
いまだに大きな影響を与えていますし、
国民の原子力への信頼が失われてしまったことは否めません。

しかし、CO2を排出し、燃料高騰の著しい火力発電や、
昼間や夏しか発電できない、そして景観を損ない災害の危険も懸念されている太陽光発電、
風が吹かなければ発電できない風力発電など、

再生可能エネルギーが電力の安定需要に貢献できる状態には、
残念ながらまだいたっていません。

また、近年の電気料金の高騰を見ても、
原発を稼働させている地域とそうでない地域の電気料金は、
およそ1.5倍から1.8倍のちがいが出てきています。

つまり原発稼働の有無で、同じ日本国内であっても、
電気料金に非常に大きな地域格差が生じてしまっているのが現状
です。

いずれは原発ゼロという目標は理解できますが、
フュージョンエネルギーのイノベーション戦略を政策として今後実現していくことで、
未来のエネルギー開発研究を進めながら、
私たちの生活を守るためには、
現実的かつ安定的な電源構成をつくることが必要であると考えます。

●新潟県庁(新潟県新潟市)

「県央医療圏の現状と課題について」ということで、
新潟県においても、宮城県と同様に病院再編が大きな課題となっています。

新潟市と長岡市にはさまれた、
県央医療圏における病院再編が実施され、

厚生連三条総合病院(199床)と県立燕労災病院(300床)の2病院が統合し、
今年3月1日、三条市において、

「済生会新潟県央基幹病院」が開院(病床数400床)し、
救急・専門医療の基幹病院としてスタートしました。

この医療再編は、圏域内で救急医療対応等ができていないという
医療提供体制の課題を解決すること、
また医療ニーズの変化に対応するために進められたとのことでした。

また同時に、近隣の病院を「地域密着型病院」として再編し、

済生会三条病院(三条市、199床→120床)
県立加茂病院(加茂市、一般118床療養50床→80床)
県立吉田病院(燕市、199床→110床)

この3病院を、日常の身近な外来・入院、
また軽症を中心とする平日・日中の救急に位置付けることとしたそうです。

今回は、新潟県福祉保健部からのご説明と同時に、
オンラインで県央基幹病院の遠藤直人院長先生もご参加いただき、
新病院について現場のご意見、取り組みもうかがうことができました。

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今回も、島根県と新潟県における取組を詳細に伺うことで、
今後の県政に生かせる情報、お話をたくさんいただきました。

自由民主党・県民会議所属議員は33人のため、
今回は3班体制で、それぞれの調査をしましたが、
私は今回、島根県、新潟県に伺い、
ともに宮城県とよい意味での比較ができたように思います。

今回ご教示いただいたエネルギー問題や医療福祉の課題について、
今後の県政活動に生かしていきたいと思います。

ありがとうございました。

(第4972号 令和6年4月25日(木)発行)