宮城県議会経済商工観光委員会県外調査で、愛媛県、兵庫県を訪問しました

令和4年8月8日から10日にかけて、
宮城県議会経済商工観光委員会で、愛媛県、兵庫県を訪問しました。

メンバーは以下の通りです。

委員長 渡辺 勝幸(自由民主党・県民会議)
副委員長 わたなべ 拓(自由民主党・県民会議)
委員 境 恒春(みやぎ県民の声)
委員 三浦 ななみ(みやぎ県民の声)
委員 高橋 啓(緑風会)
委員 伊藤 和博(公明党県議団)
委員 伏谷 修一(自由民主党・県民会議)
委員 菊地 恵一(自由民主党・県民会議)
委員 藤倉 知格(自由民主党・県民会議)

今期、私は本委員会で委員長を務めています。
なお、今回の県外調査は諸事情により欠席をされた委員もいらっしゃいました。

●宮城県議会経済商工観光委員会県外調査一日目。
「道後温泉の観光プロモーションの取組について」(松山市産業経済部道後温泉事務所)

道後温泉は愛媛県松山市にあり、日本三古湯の一つとされ、
夏目漱石の小説「坊つちゃん」に描かれ、
愛媛県の代表的な観光地となっています。

道後温泉は歴史も三千年ということで、聖徳太子も来湯したのだとか。

また、松山市営であり、
周辺にホテルなどが立ち並ぶ珍しい形ではないかと思いました。

さらに松山市営である道後温泉本館は、
国の重要文化財でもあり、観光客を迎えながら同時に、
その保存修理工事を実施しているとのことで、
令和6年12月までその工事は継続されるとのことです。

観光客を受け入れながら、
保存修理工事を進めるというのもなかなか難しいですし、
このコロナ禍でどのように観光振興を進めるのか、
というのは大きな課題であると推測されましたが、

道後温泉が観光プロモーションとして取り入れていたのが、

「アート」

でした。

道後温泉別館の飛鳥乃湯泉中庭では、昨年10月27日から
「道後温泉別館 飛鳥乃湯泉中庭インスタレーション」
(略称:飛鳥乃湯泉インスタレーション)が開催され、

写真家の蜷川実花さんが撮影した花の写真約230点が設置されています。

実際に見てみて、これは「インスタ映え」するなあと感じるとともに、
若い世代の方々がたくさん訪れている姿を目にしました。

松山市としても、道後温泉に若い世代の人が訪れるための手法の一つとして、
「アート」を取り入れているそうで、今年4月からは、

「道後オンセナート2022」

を開催、約30組のアーティストやクリエイターが、
常設のアート作品を道後温泉の町中に展示しています。

コロナ禍で観光産業の打撃は大きなものがありましたが、
道後温泉ではそんななかでもアートとのコラボレーションで、
新たな若い世代の観光客誘致への工夫をされていたとのことでした。

●宮城県議会経済商工観光委員会県外調査二日目。
「観光プロモーションにおける歴史コンテンツの活用について」(松山市産業経済部観光・国際交流課、松山城)

現存12天守の一つとされている松山城は、
国の重要文化財とされており、
「日本三大平山城」となっています。

ロープウェイとリフトを公営で設置しており、
このこともあり松山市を一望できることから観光資源を最大限活用しているといえるでしょう。

仙台においても青葉城の活用として、
こうした交通に関する議論がありますが、
予算が許せば観光資源を生かす手段となるだろうなと思っています。

現在の青葉山登城はなかなか徒歩では大変ですし、
るーぷるバスの活躍に頼るところですね。

また、松山城の主の変遷の歴史を伺うと、
開城以来、伊達家がずっと治めてきた仙台藩というのは、
いろいろな歴史があったにせよ、ありがたいことだなとも感じました。

●「遠隔地での日本語学習支援等について」(公益財団法人愛媛県国際交流協会)

愛媛県国際交流協会では、
愛媛に暮らす外国人の方に対して、
日本語学習支援事業を進めていますが、

日本語を教える方と日本語を学びたいという方のマッチングが難しく、
松山市から離れた地域でも日本語を学ぶ機会を提供するために、

オンラインを活用し、遠隔地であっても、
オンラインで日本語の先生から学び、
また参加者同士が交流を図る工夫もなされているとのことです。

コロナ禍前からの取組ということで、
コロナ以後はオンラインでやり取りをすることは一般的にも増えたように感じますが、

やはりオンラインというのは遠隔地であっても、
教育や交流という点では工夫をすればするほど、
可能性は広がるのだなと感じました。

今後、外国から日本に来られる方に、
日本語をどう学んでもらうか、
日本の文化を身につけてもらうにはどうしたらよいか、
大きな課題となってくるものと思います。

困難は多いかとも思いますが、
逆の視点で見ると、日本のよさ、素晴らしさを世界に発信し、
日本ファンを世界に広げることができる機会であるとも言えます。

全国で取り組んでいる、様々な政策を研究したいと思います。

●宮城県議会経済商工観光委員会県外調査三日目。
「大型放射光施設SPring-8/SACLAによる技術開発・産業振興について」
(国立研究開発法人理化学研究所放射光科学研究センター・兵庫県佐用町)

6月2日の当委員会の県内調査で、
仙台市青葉区に建設中の「次世代放射光施設ナノテラス」を視察する機会をいただきました。

⇒ https://katsuyuki.jp/2022/06/03/

既に日本にある放射光施設として、兵庫県佐用町にある、

「大型放射光施設SPring-8/SACLA」

による技術開発や産業振興について伺うとともに、
兵庫の「SPring-8」から、仙台のナノテラスに、
多くの研究者の方々が支援に入っている状況もうかがうことができました。

私としては、宮城県、東北の中小企業が、
こうした次世代放射光施設を利用することによって、
新たな事業や新商品を開発し、産業振興を盛り上げてほしいと考えています。

「SPring-8での産業利用成果」
⇒ http://www.jasri.jp/business/gijutsusienn/Industrial/#contents

食材の食感を壊さない冷凍技術や、
むし歯予防ガムを開発したり、
髪にツヤを与えるヘアケア製品の開発、
高性能な低燃費タイヤの開発などなど、

私たちに身近な商品の開発が、この放射光施設を利用することによって、
生み出されてきていますが、なかなか世間にはこの施設の存在は知られていません。

しかし、せっかく仙台の青葉山にこのような世界最先端の研究施設ができるのですから、
SPring-8での産業利用成果を横展開して、
宮城県や東北の産業振興のために、企業が活用しやすいような施策を推進したいですね。

─────────────────

お忙しいところ、視察を受け入れていただきました皆様に感謝申し上げますとともに、
今回伺った調査内容を、今後の宮城県における政策立案に役立ててまいりたいと思います。

ありがとうございました。

(第4350号 令和4年8月12日(金)発行)