【渡辺勝幸一般質問】【大綱1】地方自治と国の制度の在り方について【第377回宮城県議会】

本日3月3日、
第377回宮城県議会(令和3年2月定例会)において、
渡辺勝幸は一般質問に立ちましたので、

このメルマガで数回に渡って、
一般質問の内容等についてお伝えしたいと思います。

1回目として、

大綱1 地方自治と国の制度の在り方について

内容をお伝えしたいと思います。

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【渡辺勝幸一般質問要旨】

【大綱1】地方自治と国の制度の在り方について
以下4点について知事及び教育長の所見を伺いたい。

(1)国の一律の制度により、地方の政策的自由度を縛る事例も見られるが、
廃止すべき制度とその理由はどうか。
また、地方と国の政策の在り方について、齟齬や乖離があると思うがどうか。

(2)教育のICT環境の整備が急務となる中、
国の支援を活用した継続的な取組が必要と思うが、県内市町村の状況はどうか。

(3)公立小中学校の学校図書館は、国が蔵書数の基準を定め、
図書購入費として地方交付税措置がなされているが、
この図書標準の達成割合について、新聞配備と併せ、現状はどうか。

(4)新生児聴覚検査事業は、三位一体改革で国庫補助が廃止され、
地方交付税措置に移行したが、数年前は公費負担を行う市町村が皆無であった。
市町村の現況と県の対応はどうか。

【大綱2】「社会全体で支える宮城の子ども・子育て」について
以下6点について知事の所見を伺いたい。

(1)「新・宮城の将来ビジョン」において、政策推進の基本方向として、
子育て支援を新たに柱立てするに至った考え方や、子育て政策の具体的な在り方はどうか。

(2)私立幼稚園教員の処遇については、これまでも一定程度の改善が図られてきたが、
人材確保の観点から、認定こども園と同程度の処遇となるよう更なる改善が必要と思うがどうか。

(3)心身障害児の増加により、幼児教育現場からは、
特別支援教育に当たる教員の不足への対応や、研修の充実が課題との声が聞かれるが、
現状と今後の方向性はどうか。

(4)幼児教育の現場においても、新型コロナウイルス感染症への長期的な対応が求められており、
行政による継続的な支援が必要と思うがどうか。

(5)障害児も安心して遊ぶことのできるインクルーシブ公園の設置は、
共生社会の実現に資する政策の一つであり、
既存遊具の更新等での対応が可能であるが、その対応についてどうか。

(6)自転車安全利用条例が4月から施行されるが、
ヘルメット着用の現状と今後の方向性はどうか。
また、高校生のヘルメット着用を一層促進する必要があると思うがどうか。

【大綱3】富県躍進に必要な「新しい価値」について
以下5点について知事の所見を伺いたい。

(1)少子化の進行や復興需要の減少を含む経済の縮小が見通される中、
新・将来ビジョンに掲げる「新しい価値」創出の実現が重要だ。
宮城ならではの新しい価値について見解はどうか。

(2)政策展開にデジタル化推進の視点を取り入れることで、
我が県のデジタル化は大きく伸びる余地があると思うが、
庁内外の人財活用を含め、デジタル庁設置を踏まえた対応はどうか。

(3)園芸産出額倍増の目標実現に向けては、
「新しい価値」の明示やデジタル化との融合も重要であり、
園芸サプライチェーンの構築への取組と併せ、具体的な施策はどうか。

(4)我が県は、来年2月に、県制150周年の節目を迎えるが、
様々な記念行事のほか、観光振興も含めた地域活性化策を講じるべきと思うがどうか。

(5)我が県は、スポーツと芸術文化のプロが身近に存在する恵まれた環境にあり、
子ども達の健全な成長の促進に向け、
スポーツ等に触れる機会を更に創出していくべきと思うがどうか。

【一般質問要旨ここまで】
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【大綱1】地方自治と国の制度の在り方について以下4点について知事及び教育長の所見を伺いたい。

自由民主党・県民会議の渡辺勝幸でございます。

まずもって、新型コロナウイルスに感染されたみなさまにお見舞いを申し上げますとともに、
医療に従事されているみなさまをはじめ
保健所等で日々ご精励いただいている皆様に心より感謝を申し上げます。

一日も早い新型コロナウイルス感染症の収束を願いながら、
県政でできることをすべてやっていくという思いを、
みなさまと共有したいと思います。

しかし残念なことに、感染者に対する差別や偏見が後を絶ちません。
一月十三日、村井知事、石川県議会議長をはじめ、行政、医療、福祉、経済、学校関係など
二十八団体の賛同のもとに、「ストップ!コロナ差別」共同宣言が出されました。
また、本定例会において議員提案条例で提出される
「宮城県新型コロナウイルス感染症対策基本条例案」においても、
「差別的取扱い等の禁止」が盛り込まれたことは意義のあることと思っております。

そのようななか、昨年県が設置した「みやぎ新型コロナウイルス人権相談ダイヤル」
にも多くの相談が寄せられているようです。

「感染により療養中の方が、接待を伴う店に通っているなどと、
事実ではない噂を職場内で流されたため、精神的に追い込まれ、
職場復帰が難しい状態となった」事例、
また、「感染した従業員に対し、『一緒には働けない、辞めさせてほしい』と
他の従業員から声が上がり対応に苦慮している」という事例があったとのことです。

感染に関連して、県内在住の外国人に対する差別も出ているとのことで、
表にはなかなか出てこないものの、人権とは何かということが問われているのではないでしょうか。

さらには、一名の生徒が陽性となり臨時休業となったある学校では、
その学校に通う別の生徒の保護者から、
その生徒が何年何組の誰なのか明らかにしろという電話があり、
学校側が公表を拒んだところ、その保護者はそれではと保健所に電話をし、
ただでさえ忙しい保健所の職員が対応に苦慮したということもあったそうです。

また、飲食店で感染したと思われる陽性がわかった同僚に対して、
「自己規制が足りない」「モラルを向上させろ」という指摘をしたとの事例も耳にしました。
こうした数々の事例を見るにつけ、お互いに支え合い、思いやりの心をもって、
差別や偏見をなくしていくためには、なお一層の努力が必要であると感じたところであり、
医療提供体制の充実や経済対策という新型コロナ対策の推進は重要であるものの、
新たな差別や偏見が生まれている現状に政治が何をすべきか、
改めて考える必要があると強く指摘をしておきたいと思います。

(1)国の一律の制度により、地方の政策的自由度を縛る事例も見られるが、
廃止すべき制度とその理由はどうか。
また、地方と国の政策の在り方について、齟齬や乖離があると思うがどうか。

さて、大綱一点目、「地方自治と国の制度の在り方について」お伺いいたします。

令和二年十一月の宮城県議会定例会において、
「新・宮城の将来ビジョン」が可決されました。
これは、宮城県として令和十二年(二〇三〇年)を目標年度とする十か年のビジョンであり、
震災から十年を一つの区切りとして、新たな理想の宮城県を目指して、
四月から県政は心機一転スタートすることになるわけであります。

しかしながら、震災からの復興は道半ばであり、
世界中で予想だにしなかったコロナ禍においては、
さらに県政のかじ取りは難しくなってくるものと感じております。

先日十六日の予算特別委員会総括質疑においても指摘をしましたが、
コロナ対策による財政出動は、宮城県財政だけではなく、
全国の都道府県、市区町村といった地方自治体にとって共通の課題であり、
それぞれの地方において、財政の限界がさらに厳しい形で訪れているのではないでしょうか。

また、以前より私は一般質問において取り上げてきましたが、
「三位一体の改革」の中で、国から地方への税源移譲が実現したものの、
同時に地方交付税の総額は大きく削減されておりました。
国の財政健全化のために地方が犠牲になった形であり、その後、
「地方財政計画」は地方の実情を反映することなく、二十年弱の月日が流れました。
その間、東京一極集中が進み、地方は衰退し、
昨年の新型コロナによる自治体の異例とも言える財政出動により、
地方の息の根は止められる寸前にあるといっても過言ではありません。
「三位一体の改革」以来のわが国の地方財政政策は弥縫策であり、
これは自民党の大失政であると私は感じているところであります。

さて、コロナ禍において昨年は、全国の地方議員と、
それぞれの自治体の実情やコロナ対策を含めた地方の課題について、
オンラインでしばしば議論をする機会が多くありました。
地方の財源は年々厳しくなるなかで、感染症法上「地域の感染封じ込め」は
都道府県が担うことになっているものの、
実際は国の通知に基づいた行政の動きがあり、現場と齟齬をきたしている。
地方分権の時代において、自治体は自治体で、自分の判断と責任で解決をする、
と考えなければなりませんが、
一方でいまだに国の一律の制度が、
地方の政策的自由度をしばっているという事例があるように思えます。
このコロナ禍においては、国と地方の権限の在り方が再び問われているのではないでしょうか。
コロナによって、いまは首長のリーダーシップが問われる時代である
という見方がさらに強まっており、
国が地方のために何かをしてくれるのを待つのではなく、
地方が国を動かしていかなければならない時代となっています。

知事が現在、県政のかじ取りを進める上で、
国の制度のなかで廃止すべきであると感じるものについて、
具体的事例をあげてお示しいただき、その理由、
そして地方と国の乖離の現状についてどのように考えているのか見解をお伺いいたします。

(2)教育のICT環境の整備が急務となる中、国の支援を活用した継続的な取組が必要と思うが、県内市町村の状況はどうか。

かねてより私は、議会等において、
国庫補助金として政策推進されてきた地方の事業が、
とりわけ三位一体の改革以降、市町村に地方財政措置として交付税措置がなされているものの、
市町村の厳しい財政事情のもと、県内において事業が実施できない場合があることを指摘してまいりました。
県内市町村において重要な政策推進にできるだけ格差が生じることのないよう、
市町村の自治を尊重しながらも、以下指摘するような事業には、
県としての目配りがいま一度必要なのではないかと感じるところです。

以下、いくつかの事業につき、現状についてお伺いいたします。

まず、コロナ禍においては、オンライン教育の実施も含めて、
教育におけるICT環境の整備が喫緊の課題となっております。
国の大きな支援は活用していかなければなりませんが、
ハードについては継続的な取組が必要になってまいりますし、
やはり財政の厳しい自治体においては地方財政措置が重要となってまいります。
教育におけるICT環境の整備について、県内市町村の取組は現状どうなっているでしょうか。
お伺いいたします。

(3)公立小中学校の学校図書館は、国が蔵書数の基準を定め、図書購入費として地方交付税措置がなされているが、この図書標準の達成割合について、新聞配備と併せ、現状はどうか。

次に学校図書館について伺います。
公立小中学校の学校図書館には国が蔵書数の基準を定めており、
国は地方交付税で図書購入費として毎年二百億円分を措置しているものの、
厳しい財政事情の中、自治体の裁量で図書が購入されていないこともあると聞いております。
新しい学習指導要領のもとで外国語の小学校教科化が実施されておりますが、
やはり子供たちの教育の基礎は国語教育にあり、
とりわけ読むという行為は思考し、表現をするための基礎であります。
県内小中学校の学校図書館における図書標準を達成している割合についてお伺いいたします。

また学校図書館への新聞配備についても同様であります。
新学習指導要領においても、新聞を教材として活用することが位置づけられており、
宮城県内の小中各校においても、
一校一紙の新聞が配備されていなければならないことになっておりますが、
県内各校の新聞配備の現状についてお伺いいたします。

(4)新生児聴覚検査事業は、三位一体改革で国庫補助が廃止され、地方交付税措置に移行したが、数年前は公費負担を行う市町村が皆無であった。
市町村の現況と県の対応はどうか。

最後に、新生児聴覚検査についてお伺いいたします。
聴覚障害は、早期に発見され適切な支援が行われた場合には
聴覚障害による音声言語発達等への影響が最小限に抑えられることから、
その早期発見、早期療育を図るためには、
全ての新生児を対象として新生児聴覚検査を実施することが非常に重要であります。

国の新生児聴覚検査事業は平成十八年度をもって国庫補助を廃止し、
平成十九年度の地方財政措置において、
所要の財源が確保され市町村に対して地方交付税措置されたものであり、
市町村はこの新生児聴覚検査事業に対し公費助成も含めた事業の実施が求められているところであります。
しかし、平成二十九年九月定例会においても取り上げましたが、
公費負担を実施している宮城県内の市町村は平成二十七年度時点では一つもないという状況でした。
県内における新生児聴覚検査の現状と、県としての対応についてお伺いいたします。

(大綱二、三は明日以降に続けます)

質問内容についてのご感想、
ご意見、ご質問などいただければありがたく存じます。

すべてにお返事はできませんが、
今後の活動に役立ててまいります。

「渡辺勝幸 宮城県議会県政活動報告」(ブログ)
⇒ http://cuccanet.blog72.fc2.com/blog-category-42.html

(第3823号 令和3年3月3日(水)発行)