【渡辺勝幸ご報告】東北大学大学院における令和4年度講義が終了しました─「情報技術経営論」講義の内容と受講者の感想を公開します!その3【起業家教育】

今年も令和4年4月から8月にかけて、
毎週月曜日に、

私、渡辺勝幸は、

東北大学大学院情報科学研究科
https://www.is.tohoku.ac.jp/

において、非常勤講師として、情報技術経営論の講義をしました。

今年でこの講座を持つのは早いもので9年目となりました。

この講義を受け社会に巣立って行った方々もたくさんいますし、
Facebookなどで引き続きつながってくださっている卒業生の方もおり、その活躍が楽しみです。

なかには起業した方もいらっしゃいますし、
最近は学生起業家の受講も増えているのは時代ですね。。。

今年の履修者は37名。
今年も履修者のほぼ全員が講義を受けてくれましたが、

新型コロナウイルスの影響により、
オンライン授業と対面+オンラインのハイブリッド併用となり、
一昨年はすべてオンラインでしたが、

ZOOMの活用などでグループワークをオンラインで実施したり、
SlackとZoom、Google classroomを利用することにより、
オンラインの新しい形を模索しているところです。

私がこの4か月間講義した内容と、
大学院生の受講しての感想を以下の項目で書いていただきましたので、

「起業家教育」をテーマに格闘している私の活動を、
みなさんにシェアしたいと思います。

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください。

この講義は、履修者全員に
メールアドレスを登録してもらい、
メーリングリストを作成しました(GoogleGroups)。

このメーリングリストを使って、
講義の週の金曜日までに、

1、講義において気づいたこと【気づき】
2、その気づいたことから自分は何を実践するか【置換え】

等を毎週提出していただきました。

東北大学令和4年度シラバス
【情報技術経営論 Management of Information Technology】

 前期(月) 10:30-12:00

科目名/Subject 情報技術経営論
曜日・講時・教室/Day/Period/Place 前期 月曜日 2講時
単位数/Credit(s) 2
対象学科・専攻/Departments 情報基礎科学専攻、システム情報科学専攻、人間社会情報科学専攻、応用情報科学専攻

授業題目/ClassSubject 企業のエッセンスを学ぶ
授業の目的・概要及び達成方法等
起業家学。会社の作り方、ゼロから事業はいかにしてつくられるか、
起業成功のエッセンスを学ぶことにより、ビジネスで成功する極意を習得し、
受講者が修士修了後、社会に出たときに即戦力として活躍できることを目的とする。

初回の講義はリモート講義とする。

授業の目的・概要及び達成方法等(E)
Entrepreneurial Studies.
Students will learn how to build a company and the essence of successful entrepreneurship.
The objective is to prepare students for immediate success.
The first lecture will be a remote lecture.

学修の到達目標/Goal of Study
情報科学を基礎として起業することに理解を深める。

授業内容・方法と進度予定/Contents and progress schedule of the class
下記の内容を講義する。

・起業に必要なものは何か─逆境こそチャンス
・起業戦略と新規事業立案戦略─6W2H
・起業支援政策の形成過程─安倍政権の成長戦略とは
・ビジネスは問題から生まれる─問題把握、現状分析と客観視
・会社の作り方
・実際に事業を「つくる」
・どの会社にも必ず起業家がいる─起業家の歴史
・起業がうまくいくチームは「桃太郎」
・集客、営業の基本─ドラッカーの「顧客の声を聞く」
・値決めは経営─価格はどのようにして決められるのか
・起業とファイナンス
・公益経済と共通価値の実現(ポーターの経営論)
・プレゼンを学ぶ
・起業家ヒアリング(起業支援、家事代行ビジネス、海外進出支援ビジネス、社会起業、パーソナルトレーニング、食とワインと地域貢献、介護事業の未来など)

使用言語 日本語
成績評価方法/Evaluation Method レポートで評価する。

授業時間外学修
履修者には授業に即した課題を行うことが求められる。
授業時間外学修(E)
Students must do the assignments as they are given.
オフィスアワー 授業開始日に説明する。
オフィスアワー(E)
Office hours will be announced on the first day of class.

実務・実践的授業/Practical business
※○は、実務・実践的授業であることを示す。/Note:”○”Indicates the practical business

その他/In addition
オンラインでの質問を積極的にお待ちします。

令和4年度の講義カリキュラムは以下の通りで行いました。

第1講 4月11日 オリエンテーション・起業には何が必要か(オンラインZOOMと動画視聴)
第2講 4月18日 起業家ゲストスピーカーその1「家事代行サービスの可能性と私の履歴書」株式会社 IDENTITY 野地数正 代表取締役(対面と動画ハイブリッド)
第3講 4月25日 起業戦略と新規事業立案戦略ー6W2H(オンラインZOOMと動画視聴)
第4講 5月2日 起業支援政策の形成過程ー政府の成長戦略とは(オンラインZOOMと動画視聴)
第5講 5月9日 ビジネスは問題から生まれるー問題把握、現状分析と客観視(オンラインZOOMと動画視聴)
第6講 5月16日 どの会社にも必ず起業家がいるー起業家の歴史(対面講義と動画視聴)
第7講 5月31日 事業計画を『つくる』(ワークショップ)(オンラインZOOM)
第8講 6月6日 値決めは経営・ビジネスの基礎、人事管理ー起業がうまくいくチームは『桃太郎』(対面講義と動画視聴)
第9講 6月13日 公益経済と共通価値の実現(ポーターの経営論)(対面講義と動画視聴)
第10講 6月20日 起業家ゲストスピーカーその2「越境する福祉」社会福祉法人ライフの学校田中伸弥理事長(対面講義と動画視聴)
第11講 6月27日 起業家ゲストスピーカーその3「クラウドファンディングによる起業と新しい出版のかたち」/「誰もがココロ躍るコトを仕事にできる社会を目指して」
株式会社サンガ新社佐藤由樹代表取締役・株式会社 Punks Farmer早坂洋平氏
第12講 7月4日 起業家ゲストスピーカーその4「日本と世界を繋ぐビジネスクリエーター。中小企業の国際化支援事業」株式会社KM International中正宏代表取締役(対面講義と動画視聴)
第13講 7月11日 プレゼンを学ぶ・ファイナンスについて(お金の借り時はお金を返せるとき)(対面講義と動画視聴)
第14講 7月25日 事業計画を『つくる』(ワークショップ)(オンラインZOOM)
第15講 8月1日 【最終講】事業計画発表(対面講義と動画視聴)

以下、学生のみなさんの感想です。

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【Qさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

情報技術経営論を受講したのは、
将来起業に携わる機会がないとは言えないので知見を広げたく受講しました。
そのためはじめは起業に関してほとんど知識が無かったのですが、
起業に必要な具体的な知識や手法から、
起業する際の思いまで幅広く沢山のことを知ることができ受講してよかったと感じております。
将来起業に関わるとしても関わらないとしても生かせる知識があったので、
活かしていきたいと思います。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第8講】値決めは経営・ビジネスの基礎、人事管理ー起業がうまくいくチームは『桃太郎』
理由:ピザ戦争の話がとても印象的で興味深い話だった上に、
どのような考えに基づいて価格を設定するのが適切だったのかを
具体的に知ることができたのが面白かったからです。
また、起業がうまくいくチーム編成について、
将来はチームで仕事をすることが多いと予想しているのでぜひ聞きたかったのですが、
予想と全然違ったことが印象に残っているからです。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください。

なるべく沢山のことに挑戦していきたいと思います。
この講義を通して沢山のことを学ばせて頂きましたが、
私の性格上リスクなどを考えて実践する前に悩んでしまう事があるような気がします。
なので、意識的に行動を起こしていけるようにしていきたいと思います。
問題解決のプロセスなど日常的に応用できることを日常的に応用していきたいと思います。

【Rさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

全体的に、今まで受けたことがないような内容の講義だった。
情報系の学科に属していたこともあり、文系寄りの講義は全学教育以降受けていなかった。
この講義を受講して、起業について学べただけでなく、
広く経済を俯瞰する力も身についたと思う。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第2講】
これまで、起業するには長い期間かけてじっくりと考え抜き、
「絶対に失敗しない」という段階まで来たら初めて起業できると考えていた。
しかし、第2講を受講して考えが一新された。
すべての知識を吸収した上で起業すると言うよりも、
まずは起業してみてそれから経験的に知識を吸収していく人が大多数だった。
起業だけに限らず、チャレンジを行う上で大切なのは
「情熱」であることに気づかされた講義だった。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

自分はこれまで打算的な人間だったが、
この講義を受けてもっと情熱的に生きてみようかと思えた。
完璧主義な人間だったがために挑戦できないで
機会を逃して終わってしまうという場面が多々あった。
この講義を受けてみて、とりあえず挑戦することも悪くないなと思えたので、
自分の心に従って生きてみようと思えた。

【Sさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

最初は、起業をするのは、私の将来の一つのプランとして検討していた。
しかし、起業をするノウハウは全く知りませんでしたので、
本授業を受講することを決めた。
本授業を通して、起業するための必要な情熱や志など、
またはアイデアから事業計画ができたまでのプロセスなどのよりおおく知識や考え方、
視点などを学ぶことができました。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第1講】
私にとって、第1講が印象に残っています。
前の質問の回答のとおり、最初は起業するのは私の将来の進路として検討していました。
最初も、何かいいアイデアを持っているだけで起業することができる
というイメージをずっと持っていました。
ですので、起業をする際には「目標」と「志」が必要という点を受けて、
やっぱり起業するのは軽い気持ちで、
深い考えず、やってしまうものではないを気づきました。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

起業をするだけではなく、人生で方向性や就職先、研究方針、進路といった
様々な人生で重要な決めなければいけないことを考えすぎずに、
「原大本徹」や「SWOT」といった本授業で学んだ考え方を用い、
ちゃんと頭の中で整理したいと思っています。

【Tさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

起業に関する知識もいろいろと学ぶことができ,為になりましたが,
それ以上にグループワークやアイデアを出すフレームワーク,またスライドの作り方など,
研究や今後の人生において必須のスキルを磨く機会になったという点でも勉強になりました.
さまざまな境遇を経たゲストスピーカーの方々の話はどれも面白く,
知見を広げることができて興味深かったです.

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第6講】「プレゼンを学ぶ・ファイナンスについて」
理由:
数年ぶりにスティーブジョブスのスピーチを見ましたが,
話の構成や間の取り方,また観客が見入る話し方など
学ぶ点が多いことに気づき目から鱗でした.
後半のファイナンスの話を踏まえて,
実際に企業のHPから各企業のお金の流れを確認したことで,
とても実践的な学びが多かったと思います.
お金のやりくり関する話は企業においても特に重要ですので,印象に残っています.

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

社会人としてキャリアを積む一方で,今後は起業も視野に入れておりますので,
やはりファイナンスの知識を活かせるよう,
今後とも各企業のファイナンスや事業計画書を読みながら知見を取り入れていきたいと思います.
同時に,プレゼンの重要性も学びましたので,
効果的なスライド構成や相手を惹きつける話し方を研究していきたいと考えます.

【Uさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

起業に対して全くの知識のなかったが,
本講義を通して特に初志貫徹の情熱をもつから政府の骨太方針の見方に至るまで,
起業したくなったときにどう動いていくべきかを満遍なく知ることができた.
特にグループワークを通して今の世の中にないものを
相談していきながら決めていくのはとても面白かった.

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第6講】
理由:
成功した起業家には大きな失敗や災害などの経験があり,
絶望の中からいかにして生きていくかというストーリーは
今後の人生にも役立つ考えのヒントを得た.

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

大きな失敗や喪失を経験した時に,落ち込んだけで終わるのではなく,
その後どう切り返すか,どう行動するかという思考回路を持つことである.
実際,研究がうまく進まないときにも,
そこで立ち止まることなく次はどうするとすぐに考えるように挑戦しており,
今後も習慣になるように努めていきたい.

【Vさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

今まで、起業というものに多少の興味はあったものの、
どこから何を学べば良いか見当がつかなかった。
しかし、今回、本講義を受けたことによって
起業に対する基礎的な知識が体系的に習得することができたと考える。
様々な教科が複合的に組み合わさっているため、
自分だけで習得することが難しい起業の知識が得られたことは大変貴重な経験だったと感じる。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第4講】
場当たり的に決定されていると考えていた行政の補助金が、
「骨太の方針」などを基に決まっていることを知ったため印象に残っている。
今後は、これらの方針を注視し、社会が次に進む方向性を見極めたい。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

この講義全体を通じて、学んだことは何かを思いついた時、
それを実行することが重要であるということである。
私は心配性な性格であるため、あれこれ考えた後に最後の思い切りができない時がある。
そんな時は、この講義を通して学んだことを活かし、実践することを心がけたい。

【Wさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

実際に起業する際にどんな考え方やプロセスが必要なのかを体系的に知ることができ、
またグループで事業計画を作ることを体験できたため、非常に有意義な講義であった。
加えて、偉人と呼ばれるような創業者やゲストスピーカーの方々の起業経験
及び事業内容を聞くことで、どんな想いで何を目的に事業をされているのかが強く伝わり、
志の重要性を理解することに繋がったと思う。
起業するか否かに関係なく、志や想いは研究や仕事を遂行する上でも重要あるため、
多様な事例を題材に重要なマインドや考え方を知れたのが非常に良かった。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第3講】
理由は、本講義の目的となる考え方を一番わかりやすく理解することができたためである。
本講義の目的は、起業やビジネスの成功の秘訣を学び、
即戦力として社会で活躍できることであったが、
第3講では起業にあたっての決意や理念、法人設立のプロセス、補助金等の
基本的な知識を学べたことに加えて、
「原大本徹」という考え方が成功の秘訣だと感じたため最も印象に残っている。
調査した際に、ビジネスで成功している企業は、
自分達の利益追求と同時に社会や環境、顧客やサプライチェーンを大切にしていることが
共通している部分だと感じた。
この共通点は、まさに原大本徹そのものであるため、
第3講での内容が、自分や企業の仕事・ビジネスでの成功を考えるうえで
重要なことを端的に理解するに最適な講義だったと感じている。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

自分の人生の軸を持ち、目的を持って考えて行動することを意識したい。
今後の人生の中では、学生の間の研究、就職後の仕事、
あるいは起業など様々な経験があると思うが、
「原大本徹」の言葉のように、何のために誰のために、どう生きるのか、
何をしていくのかを考えて生活したい。
特に、お金や自分の利益だけを追求するのではなく、
「世のため人のため」に自分が貢献できることで生きていくことを肝に銘じたい。

【Xさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

今まで、起業については自分とは縁遠いものだと考えてきた。
しかし、この授業を通して起業をするために必要なものは、
熱意、資金、計画、そして情報と人であること、
資金は政府や自治体の様々な助成金を探すこと、
起業するための計画は6W2Hで考えることを学ぶことができた。
その結果、起業というものがより身近になったと思う。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第4講】
理由
この授業を受けるまでは、助成金や補助金は災害や病気に襲われた時に
マイナスからゼロの状態に戻すために受け取るものだと思っていたので、
何か新しいことを始めるから少し助けてちょうだい的な位置付けの
助成金・補助金があることを知らなかった。
今回、起業や新規事業のための援助として利用できる種類のものが
数多くあっるということを知ることができて非常にためになった。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

自分がやりたいこと、できることを探すことも大事で、
そのために自分の原点や6W2Hを考えることも必要なことだが、
それだけではなく政府の指針を読んだり
補助金にどのような種類のものがあるのかを調べることによって、
今社会に求められていることは何なのかを敏感に感じ取っていきたい。

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コロナ禍になって以来、
この講義もオンライン主体の講義となっていますが、

グループワークもSlackやZoom、Google classroomを利用することにより、
オンラインも活用しながら、生きた講義になってきていると感じています。

今年も熱心に多くの学生さんが取り組んでくれました。

学生のみなさんの感想は、次回以降に続けます。

(第4355号 令和4年8月17日(水)発行)