第381回宮城県議会(令和3年11月定例会)が閉会となりました─ウイグル問題の意見書と拉致問題理解を深める取組推進決議が可決される

本日12月15日、
第381回宮城県議会(令和3年11月定例会)が閉会となりました。

この議会では、
新型コロナウイルスの第6波に備えた費用や、
コメ価格の下落によって経営に影響が出ている農家への支援策など
が盛り込まれた総額およそ400億円に上る補正予算について、
全会一致で可決・成立しました。

またこの補正予算では、3回目のワクチン接種にかかる費用のほか、
症状がなくても県民が無料でPCR検査を受けられるようにする費用、

さらに原油価格が高騰していることを受けて、
灯油の購入代などを助成する市町村を財政面で支援する費用や、
福祉施設や私立学校の暖房費を支援する費用なども盛り込まれています。

また、自由民主党・県民会議会派として米価下落の緊急要望を、
知事に対して11月に行ないましたが、

米価の下落を受けて、
コメ以外の作物に転換する生産者を支援する費用を予算化、

このほか、登米市と栗原市にある県の保健所を支所として、
別の保健所に統合する条例も成立しました。

また、意見書では、

「中華人民共和国による人権侵害問題の解決を促し、
 必要な措置を講ずることを求める意見書」

が全会一致で可決されました。

これは、いわゆるウイグル問題について、
日本政府は「人権状況について懸念をもって注視している」という趣旨の発言にとどまっており、
これまで人権問題について取り組んできた本県議会としては
政府の対応は到底容認できるものではないとし、

国においては、直ちに日本政府として情報を収集し、
各種問題があった場合は、様々な手法を用いて厳重に抗議するよう強く要望する。

こうした内容の意見書を国に提出することを宮城県議会として可決したところです。

さらに、

「北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解を深めるための取組を推進する決議」

が、共産会派議員五名が退席した後に、
自由民主党・県民会議、みやぎ県民の声、公明党県議団、
社民フォーラム県議団、無所属の会、21世紀クラブ、緑風会の
賛成多数で、可決されました。

共産会派議員がこの決議に退席するという形をとったことは、
大変残念なことでありました。

拉致問題は人権問題であり、
「学校教育への内容の介入、教育の自主性の侵害」であるという共産党の主張には、
理解しかねるものがあり
ますし、

この点については私も、宮城県議会政務調査会長会議で、
主張したところです。

さらに言えば、同日に開催された千葉市議会では、
同じ内容である「北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解を深めるための取り組みを推進する決議について」が可決され、

この決議については千葉市議会の共産党は賛成をされているようです。

「「進行形の人権侵害」千葉市議会、拉致問題理解促進決議可決」
⇒ https://www.sankei.com/article/20211215-QCO7PLJOAZMUTHEMH6RASTLIUY/

宮城県の共産党と千葉市の共産党では、
人権問題に対する考え方が異なるのだなと、
興味深く感じたところです。

この議会から私は、

自由民主党・県民会議政務調査会長。
宮城県議会経済商工観光委員会委員長。
宮城県議会少子化対策調査特別委員会委員。

に就任し、政策の議会調整や、
経済商工観光分野、少子化対策などを中心に活動をすることになりました。

政務調査会長としては、
特別委員会のテーマ設定の議論に始まり、
意見書や決議の各会派調整、各会派の意見を伺いながら文言の修正などを行うなど、
形にするためのプロセスに苦心したところです。

また経済商工観光委員長としては、
委員会における議案審査の運営に取り組みました。

新型コロナウイルス感染症については、
全国を見ても落ち着きを取り戻してきていますが、

医療提供体制の確保など新型コロナ対策を含め、
アフターコロナの政策課題について取り組まなければなりません。

多くのみなさんの御意見を伺い、
衆知を集める政治を常に意識しながら、
今後とも全力で取り組んでいきたいと思います。

みなさまのご支援を引き続き賜りますよう、
改めてお願い申し上げます。

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【中華人民共和国による人権侵害問題の解決を促し、必要な措置を講ずることを求める意見書】

新疆ウイグル自治区で、大規模な恣意的勾留、人権弾圧が中国当局によって行われていることを国際社会は深く憂慮している。国連の人種差別撤廃委員会は、平成30年9月、中国に関する総括所見を発表し、多数のウイグル人やムスリム系住民が法的手続なしに長期にわたって強制収容され「再教育」が行われていることなどについて、「切実な懸念」を表明している。

令和2年10月には国連総会第3委員会でドイツなど39か国が、香港とウイグル自治区での人権侵害に重大な懸念を表明する共同声明を発表し、
ウイグルとチベットでの人権尊重と調査、香港の事態の即時是正を求めている。
本年2月3日には、ウイグル人女性が報道機関に対し「新疆ウイグル自治区の収容施設に収容された際に組織的な性的暴行被害があった」と証言した。
同月5日、アントニー・ブリンケン米国務長官は中国の楊潔?(ヤンチエチー)政治局員と電話対談を行った際に
「新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港における人権と民主的な価値観を米国は擁護し続ける」という趣旨の発言を行った。
この発言は、ドナルド・トランプ前米国大統領政権時のポンペオ国務長官が発表した
「中国による新疆ウイグル自治区における少数民族ウイグル族らへの弾圧を国際法上の犯罪となるジェノサイド(民族大量虐殺)と認定する」
という趣旨の声明の流れを継続するものである。
ドミニク・ラーブ英国外相も「中国西部の新疆ウイグル自治区でおぞましく、甚だしい人権侵害が起きている」として中国政府を厳しく非難し、
オーストラリアのマリス・ペイン外相も「調査をするべきだ」と発言している。
さらに、本年10月にも、国連総会第3委員会で日米欧など43か国が共同声明を行っており、国や政党を超えて大きな人権問題として認識されている。

米上院は本年7月14日に輸入業者に対して、ウイグル産の輸入品が生産過程で強制労働と無関係であることを証明するよう義務付けるウイグル強制労働防止法を全会一致で可決させた。この法は企業側に説明責任を負わせる内容で、証明できない限りウイグル産の製品や原材料の輸入を禁じるというものである。日本の国内企業にとっても現実的な経営リスクとなっており、本県の中小企業にとっても死活問題となりかねない。

こうした世界の状況にもかかわらず、日本政府は「人権状況について懸念をもって注視している」という趣旨の発言にとどまっており、これまで人権問題について取り組んできた本県議会としては政府の対応は到底容認できるものではない。

よって、国においては、直ちに日本政府として情報を収集し、各種問題があった場合は、様々な手法を用いて厳重に抗議するよう強く要望する。

 右、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和3年12月15日

宮城県議会議長 菊地 恵一

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣   あて

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【北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解を深めるための取組を推進する決議】

1940年代後半から2000年頃にかけ、多くの日本人が不自然な形で行方不明となり、日本当局による捜査や亡命北朝鮮工作員の証言により、これらの事件は北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であることが明らかになった。

平成14年9月の第1回日朝首脳会談において、北朝鮮当局は初めて拉致を認め謝罪し、再発防止を約束した。
同年10月には、5名の拉致被害者が24年ぶりに帰国したものの、安否不明(国が認定している12名)の方々については、
未だに北朝鮮当局から納得できる説明がされておらず、今なお全ての自由を奪われ、長きにわたり北朝鮮に囚われたままの状態で、現在も救出を待っている。
日本政府は、帰国した5名を含む17名を北朝鮮当局による拉致被害者として認定しているが、この他にも、日本国内における日本人以外の拉致容疑事案や、
「いわゆる特定失踪者も含め拉致の可能性を排除できない事案がある」とし、拉致の可能性を排除できない行方不明者は約900名近くいると言われており、
宮城県関係の特定失踪者として3名がリスト公開されている。

日本国内では、平成9年に拉致被害者の御家族により「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(家族会)」が、平成29年には特定失踪者(拉致の疑いのある失踪者)の御家族により「特定失踪者家族会」が結成され、被害者の救出を求める運動が展開され、これまでに1,500万筆を超える署名が内閣総理大臣に提出されている。

国においては、北朝鮮による日本人拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重大な問題であり、
国の責任において解決すべき最重要課題と位置付け、その解決のためには、世論の一層の喚起が不可欠であり、
特に若い世代に拉致問題への理解促進を図ることが重要であるとの認識の下、
内閣官房拉致問題対策本部及び文部科学省から令和3年4月23日付けで「北朝鮮当局による拉致問題に関する映像作品等の活用促進について」が発出された。
この通知は、児童生徒が拉致問題について深く認識し、拉致問題を人権問題として考える契機とするため、
アニメ「めぐみ」及び映画「めぐみ」の学校等における上映を促進するよう、
また、政府の拉致問題対策本部が毎年実施している、全国の中高生を対象とした「北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール」への参加についても、
都道府県教育委員会を通じて学校等の関係機関に周知することを求めたものである。

よって、本県議会は、一日も早い拉致被害者全員の救出に向けて、アニメ「めぐみ」、映画「めぐみ」、「拉致被害者御家族ビデオメッセージ~必ず取り戻す!愛する家族へ~」、拉致問題啓発舞台劇公演「めぐみへの誓い─奪還─」、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクール」などを通じて拉致問題を知り、北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解を深めるための取組を推進する。

 右、決議する。

 令和3年12月15日

宮城県議会

(第4110号 令和3年12月15日(水)発行)