【渡辺勝幸ご報告】東北大学大学院における令和2年度講義が終了しました─「情報技術経営論」講義の内容と受講者の感想を公開します!その4【起業家教育】

今年も令和2年4月から8月にかけて、
毎週月曜日に、

私、渡辺勝幸は、東北大学大学院情報科学研究科
https://www.is.tohoku.ac.jp/)において、
非常勤講師として、情報技術経営論の講義をしました。

今年でこの講座を持つのは早いもので7年目となりました。

この講義を受け社会に巣立って行った方々もたくさんいますし、
Facebookなどで引き続きつながってくださっている卒業生の方もおり、
その活躍が楽しみです。

なかには起業した方もいらっしゃいます。

今年の履修者は45名。
今年も履修者のほぼ全員が講義を受けてくれましたが、

新型コロナウイルスの影響により急遽オンライン授業となり、
最後まで学生さんたちとは直接お会いすることはありませんでした。

しかし、グループワークも、
SlackとZoom、Google classroomを利用することにより、
例年に近い形で進めることができました。

私がこの4か月間講義した内容と、
大学院生の受講しての感想を以下の項目で書いていただきましたので、

「起業家教育」をテーマに格闘している私の活動を、
みなさんにシェアしたいと思います。

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください。

この講義は、履修者全員に
メールアドレスを登録してもらい、
メーリングリストを作成しました(GoogleGroups)。

このメーリングリストを使って、
講義の週の金曜日までに、

1、講義において気づいたこと【気づき】
2、その気づいたことから自分は何を実践するか【置換え】

を毎週提出していただきました。

東北大学令和2年度シラバス
【情報技術経営論 Management of Information Technology】

 前期(月) 10:30-12:00
単位数/Credit(s) 2
対象学科・専攻/Departments 
情報基礎科学専攻、システム情報科学専攻、人間社会情報科学専攻、応用情報科学専攻

授業題目/Class Subject 起業家学の理解
授業の目的・概要及び達成方法等
会社の作り方、ゼロから事業はいかにしてつくられるか、起業成功のエッセンスを学ぶことにより、ビジネスで成功する極意を習得し、受講者が修士終了後社会に出たときに即戦力として活躍できることを目的とする。
授業の目的・概要及び達成方法等(E)
The purpose of this class is to learn corporate methods.
学修の到達目標/Goal of Study
情報科学を基礎として起業することに理解を深める。
授業内容・方法と進度予定/Contents and progress schedule of the class
下記の内容を講義する。

・起業に必要なものは何か―逆境こそチャンス
・起業戦略と新規事業立案戦略―6W2H
・起業支援政策の形成過程―安倍政権の成長戦略とは
・ビジネスは問題から生まれる―問題把握、現状分析と客観視
・会社の作り方
・実際に事業を「つくる」
・どの会社にも必ず起業家がいる―起業家の歴史
・起業がうまくいくチームは「桃太郎」
・集客、営業の基本―ドラッカーの「顧客の声を聞く」
・値決めは経営―価格はどのようにして決められるのか
・公益経済と共通価値の実現(ポーターの経営論)
・プレゼンを学ぶ
・起業家ヒアリング(起業支援、家事代行ビジネス、海外進出支援ビジネス、社会起業、パーソナルトレーニング、食とワインと地域貢献、介護事業の未来など)

講義資料を配付します。参考書がある場合、適宜指示します。

使用言語 講義はすべて日本語行う。他の言語の資料配付もない。
成績評価方法/Evaluation Method レポートで評価する。

授業時間外学修
資料配付をするので、復習を各自行うこと。
授業時間外学修(E)
Handouts will be distributed to the students, so review them by yourself.
オフィスアワー 授業開始日(動画)に説明します。
オフィスアワー(E)
We will make an announcement on the day the class starts.
実務・実践的授業/Practical business
※○は、実務・実践的授業であることを示す。/Note:”○”Indicates the practical business

その他/In addition
オンラインでの質問を積極的にお待ちします。

講義カリキュラムは以下の通りで行いました。

第1講 4月20日 オリエンテーション・起業には何が必要か
第2講 4月27日 起業戦略と新規事業立案戦略ー6W2H
第3講 5月11日 起業家ゲストスピーカーその1「家事代行サービスの可能性と私の履歴書」 株式会社 IDENTITY 野地数正 代表取締役
第4講 5月18日 起業支援政策の形成過程ー安倍政権の成長戦略とは
第5講 5月25日 起業家ゲストスピーカーその2「人生を変えるエクササイズ!コンプレックスから生まれた起業ストーリー」 パーソナルトレーニング スタジオ・ラヴィ 山本志乃 代表
第6講 6月1日 ビジネスは問題から生まれるー問題把握、現状分析と客観視
第7講 6月8日 起業家ゲストスピーカーその3「日本と世界を繋ぐビジネスクリエーター。中小企業の国際化支援事業」 KM International Trading and Consulting 中正宏代表
第8講 6月15日 どの会社にも必ず起業家がいるー起業家の歴史
第9講 6月22日 起業家ゲストスピーカーその4「本業を通した社会課題解決とコロナ対応事例」 株式会社ラポールヘア早瀬渉代表取締役
第10講 6月29日 値決めは経営・ビジネスの基礎、人事管理ー起業がうまくいくチームは『桃太郎』
第11講 7月6日 起業家ゲストスピーカーその5「越境する福祉」 社会福祉法人ライフの学校田中伸弥理事長
第12講 7月13日 公益経済と共通価値の実現(ポーターの経営論)
第13講 7月20日 起業家ゲストスピーカーその6「人・地域・文化・産業をつなぎ、はぐくむワイナリーづくり」 株式会社秋保醸造所毛利親房代表取締役
第14講 7月27日 プレゼンを学ぶ・ファイナンスについて
第15講 8月3日 【最終講】事業計画発表

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【Yさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

正直,この授業を受ける前には,自分の中で将来企業をしたい,
事業を起こしたいという考えはなかった.
社会に対して貢献したい,よりよい社会のために自分のできることをしたい
という思いはもちろんあったが,自分から事業を起こし,
起業したいという思いまでは繋がらなかった.

また,起業家というと,どうしても「事業性を追求し大金持ちになりたい」
という野心家のような人が多い印象があり,
起業に対して好意的なイメージを持つことができなかった.

しかし,この授業を受けて起業のノウハウや起業のために必要なこと,
起業し,まだ世の中にない事業を行うことによって社会貢献をすることができること,
また実際に起業されている方の熱い思いをお聞きし,
私の企業へのイメージが変わった.
起業がゴールではなく,その先にある自分の理想に向けて
頑張っている方々の思いをたくさん聞くことができ,非常にためになった.

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第11講】
「越境する福祉-社会福祉法人ライフの学校田中伸弥理事長」が印象に強く残っている.
それは,田中様の福祉にかける強い思いが感じられたこと,
そして実際にその思いを起業を通して形にし,
社会貢献に成功していると感じたからである.
まず田中様が授業内で紹介してくださった,
ご自身のスピーチの動画,福祉や人の死についてのお気持ちに非常に心打たれた.

そして実際にご自身でその思いを形にし,福祉事業を行っていること,
そして利用者の方々,ご家族の方々,地域の方々など,
たくさんの方々に笑顔になっていただいていることが印象的だった.
実際にライフの学校様のFaceBookを拝見させていただいた際に,
利用者の方々の笑顔の写真がたくさん掲載されており,本当に素敵だなと感じた.
これも田中様の強い思いと,起業し実際にそれを形にする行動力の賜物だと感じ,
印象に強く残っている.

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください。

よりよい社会の実現に向け,自分の思いを大切にし,
形や固定観念に捉われずに様々なことに挑戦していきたい.
この講義を受け,たくさんの方が自分の強い思いを持ち,
様々なことにチャレンジしていること,そしてそのチャレンジが身を結び,
実際に思いを実現していること,社会に貢献していることを感じた.

今後私も就職し,様々なことに挑戦する機会があると思うが,
その際には,何をどうしたいか,何ができるかという自分の思いを大切に,
また忘れないようにし,固定観念やこうしなければならないという思いに捉われずに挑戦していきたい.

【Zさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

この授業で起業に関する戦略やビジネスの基礎を学び,
実際に起業された方の話を聞くことで自分の中での起業に対する見方が変わり,
起業へのハードルが下がった.
また,起業しなかったとしてもこの授業で学んだ
ビジネスの基礎や起業家の考え方は今後の研究や
その後の進路で活きることが多くあると感じた.

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第10講】
この講義では値決めの重要性として
同じ状況下で値決めに対して異なる決断を行った
2つの企業の対照的な結果が紹介されていた.
この事例から値決めの重要性とともに先を見据えた決断の重要性を感じ,
このことが私の印象に強く残ったため.

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

この講義の課題の中で自分への置換えを考えることで,
様々な出来事に対して「自分だったらどう行動するか・どう考えるか」
ということを考える頻度が上がってきた.

また,この講義では様々なものの見方・考え方を知ることができた.
この講義で身につけた見方・考え方を用いて物事を分析することで
物事の深い理解や自分の成長につなげたい.

【AAさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

この渡辺先生の講義やゲストスピーカーの方々の起業の話を聴いて,
起業に対するイメージが大きく変わった.
講義を受ける前は,起業は自分には到底できないようなことだという印象があった.

しかし,講義を通してビジネスそのものについてや起業家精神について学び,
(実際に起業するかはまだ分からないが,)
自分でも起業するのは不可能ではないと考えるようになった.
また,この講義では起業するための考えだけでなく,
日常生活においても重要な考えを学ぶことができたため非常に有意義な講義であった.

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第14講】
全体の講義の中で,最も身近にあるプレゼンに関する内容であったため,
一番印象に残っている.
自分は正直プレゼンをするのがうまい方ではないので,
この講義で得た知識を活用し,
聞く側を惹きつけるようなプレゼンを制作できるよう練習していきたい.

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

この講義を受けたことによる学びとして,毎回の課題で行っている,
「学び・気づきの言語化」と「それの実践への置換え」を行うということである.
このような課題は今までやったことがなく,
せっかく得た学びを無為にしてしまうことが非常に多かった.

しかし、この講義でこの課題を行うことで学びを振り返る機会が得られたため,
その学びについて整理し,有意義に利用することができた.
この「学びの言語化」と「置換え」は
今後の生活においても行っていきたいと考えている.

【ABさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

起業というものを今までよりも身近に感じることができてよかった

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第15講】
他は講師の話を聞くだけであったのに対し、自分もディスカッションに参加した事業計画発
表は印象に残った

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

就職したら、その企業の理念等を考えながら仕事をしたい

【ACさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

毎回講義が終わった後に「気づき」と「置き換え」について考えるので、
他の講義と比べて何かを学び取ろうという気持ちを強く持って授業に臨むことが出来た。
また、ゲストスピーカーの先生方のお話では、
コロナの影響も含めて実際の企業がどのように活動しているのかを知ることが出来て大変勉強になった。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第12講】
「信用」がキーワードとなる講義であり、
例えば出光は第一次世界大戦の時に儲けようとはせず、
顧客からの信用を優先したことで終戦後に売り上げを伸ばすことに成功した。

私のアルバイト先の塾でも「信用」が大切になる場面はよくあり、
私の今後の人生においても信用を大切にしていこうと
感じることのできた講義であったので最も印象に残っている。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

ゲストスピーカーの先生方のお話を聞いたり、グループで事業計画を練ったりする中で
企業を経営する上では他の企業とは異なる「独自性」をもつことが大切であると分かった。

企業における独自性のように、私達個人は「個性」を持つことで
他人との違いが生まれ、人生を豊かにしていくことが出来ると考える。
この講義で得られた「置き換え」も実践しながら
私は他の人と比べて何が違うのか、どんなことが得意なのか
といったことを考えながら残りの大学院生活やその先の人生を過ごしていきたい。

【ADさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

実際に事業を行っている社長から、
その事業と企業までの経緯を聞けるのは貴重な体験だと感じている。
このような機会を提供してくれたこの授業に感謝している。
ただ、それ以外の起業に関わる話は、
どこかで聞いたことのある内容だと思って聞いていた。
これらの知識を体系的に学ぶには「MBA経営戦略」を読み込んだ方が有益だと考えていた。
ただ、受講する生徒が持っている、
経営に関する知識量は大きく差があることが前提に、
授業がつくられているはずなので、これは仕方ないことなのかもしれない。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第9講】
ラポールヘアの経営戦略が非常に優秀だと考えていた。
また、その優れたアイデアをどのように見せれば、
見る人にとって魅力的に映るのか、考えられたスライドであるように感じた。
国や起業から多くの投資を受けているのを納得するプレゼンだった。

また、事業運営もその計画の優秀性があるにしろ
年々成長し、店舗拡大し、実績を積み上げていており、上手なのだろうと考えていた。
このような、時間のかかった優れた計画を建て本当に実行できる凄さがとても印象に残っている。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

起業は簡単なことではないと、改めて講義を受けていて感じた。
事業を成功させるには、練られた事業計画とそれを実行するための行動力と十分な資金が必要になる。

このように、成功をしたいのなら、それを構成する要素すべて必要だが、
中途半端ではだめなのだと理解した。
日常で発生する問題も解決に必要な要素をすべてきちんとこなせるようになりたいと考えている。

【AEさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

全体を通して起業に対する理解が深まったと感じる。
それまで起業に対して自分で調べることや学ぶことがなかったので、
非常に難しいイメージがあったがしっかりとそのプロセスや知識を習得することができれば
多くの人にチャンスがあるように感じた。

また起業家の精神や考え方に触れるうちに一人の人間としてどう生きたいか、
社会の役に立てることはないだろうかと考えるようになった。
これまでの人生を振り返る良い機会にもなったと思う。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第1講】
情報技術経営論の最初の講義であり、
経営に関する知識を身に着けるために受講した。

しかしその内容はそれまでの自分にとって衝撃的であり
自分の生き方や人生観について考えるきっかけになった。
それから以降の講義も積極的に受講するようになったと思う。
そのためこの講義の原点となる第1講を選択した。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

本やネットを通じてまずは社会や経済の仕組みを理解することに取り組みます。
その上で自分がどうありたいのか、どのようにして公益を生み出すのかを考えていきます。
そしてそのビジョンを実現するための努力を続けていきたいと思います。
またこれから夏季休業ですが様々な業種のインターンシップに参加し、
社会に対する知見を深めていきたいと思います。

【AFさんの講義の感想】

1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想

社会に出て必要とされる人間像や、
事業がどのようになされていくのか知ることができた。

また、様々な分野の方から話を聞くことができ、
見識が広まると同時に、どの企業の方も問題発見と解決を重要視されていることがわかり、
仕事で大事なのはそこなのだと認識することができた。

2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由

【第6講】
今まで起業といえば、やりたいことをやる、
という視点で行ってきたものしか聞いたことがなかった。
例えば、飲食店をやりたいといって店を開いてもすでに似たような店はたくさんあって、
その中で新たに起業したところで何の意味もないだろうと思っていた。

または、だれも思いつかない画期的なアイディアを生み出して
成功する企業がごくまれに出るくらいで、
画期的なアイディアを生み出せる人はごくわずかで、
多くの人にとって起業はリスキーで借金を負いかねない危険なものだと思っていた。

しかし、本当に成功する企業は問題を発見し解決するというアプローチをしている
という話を講義で聞いて、自分が知っている起業は
ごく狭い範囲でしか知らなかったのではないかと思ったため、印象に残った。

3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください

日々の生活の中から問題発見と問題を解決するための
手段を探す癖をつけるようにしたい。

また、就活においては、それぞれの企業がどのような理念で事業を行い、
どのような問題をどのようなアプローチでやってきたのかという点にも注目していきたいと思う。

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今年は急遽オンライン授業でしたが、
グループワークもSlackとZoom、Google classroomを利用することにより、
例年に近い形で進めることができました。

今年も熱心に多くの学生さんが取り組んでくれました。

大学院生の感想は、次回以降に続けます。

⇒ 【渡辺勝幸ご報告】東北大学大学院における令和2年度講義が終了しました
─「情報技術経営論」講義の内容と受講者の感想を公開します!その3【起業家教育】(R2.8.16)

⇒ 【渡辺勝幸ご報告】東北大学大学院における令和2年度講義が終了しました
─「情報技術経営論」講義の内容と受講者の感想を公開します!その2【起業家教育】(R2.8.15)

⇒ 【渡辺勝幸ご報告】東北大学大学院における令和2年度講義が終了しました
─「情報技術経営論」講義の内容と受講者の感想を公開します!その1【起業家教育】(R2.8.13)

(第3627号 令和2年8月19日(水)発行)