東京パラ、車いすラグビーと車いすバスケを見ましたか?

東京2020パラリンピックも、
ついに今日9月5日で閉会式を迎えることになりました。

様々な競技で熱戦が繰り広げられ、
それぞれの選手の苦悩と格闘、栄光があらわれています。

選手のみなさんのこれまでのご努力にあらためて敬意を表します。

今回は各競技で熱い戦いが生まれていますが、
車いすラグビー車いすバスケについて、
ファンになったという人が多いように感じます。

それぞれ車いすを巧みに使いながら、
ラグビーとバスケをするというもので、

熱戦をずっと見ていると障害が何かということを忘れるくらい、
本家のラグビーやバスケも顔負けの熱い戦いです。

今回、車いすラグビー日本代表は、
リオ大会に続いて銅メダルを獲得しました。

その日本代表の主将、池透暢選手はメダル獲得に向けた活動と並行しながら、
全国各地で体験教室や講演を重ね、
車いすラグビーの強化と普及に力を注いできました。

私は3年前の平成30年11月に、
高知県立障害者スポーツセンターへ行き、

高知県の障害者スポーツ振興の取組について、
指導員の方にお話を伺う機会がありました。

「高知県に障害者スポーツ、文化芸術振興分野の視察調査に行ってきました!その1」(H30.11.8)
⇒ http://cuccanet.blog72.fc2.com/blog-entry-2548.html

そこで、指導員の方から、車いすラグビーの池選手が高知県出身であり、
高知県は福祉教育にも力を入れているというお話を聞きました。

池選手が高知の小中学校など学校現場に出向き、
子供たちとともにスポーツで汗を流し、自身の体験を語っているのだそうです。

障害者スポーツを通した福祉教育の推進であり、
障害者の方々にとっても非常に意義のあることとのお話でした。

また、池選手は自分にも厳しく、車いすラグビーの選手の方々は、
体育館での練習後、自分たちで床掃除をしっかりやっているのだそうです。

こうした姿勢を障害者の人たちにもみてほしいというのが、
指導員の方のお話でした。

もちろん社会的にそして制度的にも、
障害者の方々を応援していかなければならないわけですが、

あれをくれこれをくれというのではなく、
障害を持ったからこそ社会に還元できることがあるのであって、
何ができるかを考えることだということでした。

こうした選手や指導員の方の思いが、スポーツを通して、
障害者の世界にとどまらない大きな世界をつくっていくのではないかと感じました。

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池選手は、19歳の時、自動車の交通事故に遭い、
炎上する車の中で友人3人を亡くしたのだそうです。

自身も身体の70%に火傷を負い、左脚を切断。
左腕もほぼ感覚がないとのこと。

絶望に近い状況で自信を失う中、
中学時代の恩師から車いすバスケットボールを勧められ、
極めた先にはパラリンピックがあると知ったのでした。

亡くした友人のためにも自分が何かを残したいという思いから
車いすバスケットボールへ挑戦。

しかし残念ながら、左腕が利かない池選手には限界があったのだそうです。

このままバスケットボールを続けていても、
日本代表に入れるのかわからない。

そんな迷いが生じた矢先、2012年のロンドンパラリンピックで、
初めて車いすラグビーを見て、車いすラグビーの道へ。

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そして、今日の車いすバスケでは、
男子日本代表が銀メダルを獲得しました。

なかでも仙台市をホームタウンとする、
車いすバスケットボールチーム「宮城MAX」は、
バスケットボール日本選手権11連覇を成し遂げており、

パラリンピック日本代表にも、
豊島英選手、藤本怜央選手、藤井郁美選手、萩野真世選手が、
宮城MAXから選出されています。

車いすバスケの試合を見ていてすごいなと思うのですが、
実際に車いすをあのように動かすことはそもそも普通の人間にはできません。

選手たちは血のにじむような努力をして、
練習を継続して、あのような試合をすることができ、
さらに日本代表のみなさんは世界のステージで戦うことができるのですね。

今日の男子日本代表の対アメリカ戦は、
手に汗握る熱戦で、アメリカを超えるのではないかとも、
思えましたが、結果としては銀メダル獲得となりました。

ウィルチェアーラグビー、
ウィルチェアーバスケットボール、

ともに熱い戦いのスポーツでありながら、
パラリンピアンの勇気と強い意志を感じる競技です。

ぜひ東京2020パラリンピックが終わった今後とも、
この競技に対して、そして障害者スポーツに対して、
多くのみなさんに、関心を持ち続けていただきますようお願いいたします。

(第4009号 令和3年9月5日(日)発行)