【渡辺勝幸賛成討論】議第1号「令和4年度宮城県一般会計予算」ほかの議案に対する賛成討論について【第382回宮城県議会(令和4年2月)】

本日3月18日、
第382回宮城県議会(令和4年2月定例会)において、
渡辺勝幸は、議第1号「令和4年度宮城県一般会計予算」ほかの議案に対する賛成討論に立ちましたので、

このメルマガで賛成討論の内容等についてお伝えしたいと思います。

議第1号「令和4年度宮城県一般会計予算」ほかの議案について、
日本共産党宮城県会議員団の反対討論の後に、登壇しました。

そもそも「賛成討論」とは何か?

地方議員には、議案の審議という重要な役割があります。
議案の審議の流れとしては、知事など首長が議案を提案(上程や提案説明)した後、
議員の質問に首長が答え(議案質疑や答弁)、
議員が賛成反対の意思を表明(討論)して、最後に可・否を決める「採決」となります。

議会の討論とは、お互いに議論を交わし合うことではなく、
賛否の理由を述べることにより自分の意見に賛成・同調することを
他の議員に求めること、というルールになっているんですね。

ということで、「賛成討論」に登壇しましたので、
その内容について皆さんにシェアしたいと思います。

────────────────────────────

第382回宮城県議会(令和4年2月定例会)賛成討論

自由民主党・県民会議を代表し、
今定例会に提出されております予算議案及び予算外議案について、
「賛成」の立場から討論を行います。

現時点で反対の立場をとっておられる議員におかれましては、
いま一度、お考えいただき、賛成をしていただきますよう、心よりお願い申し上げます。
今からでも遅くはありません。

一昨日、三月十六日に発生した、福島県沖を震源とする地震は、
マグニチュード七・四、本県で最大震度六強を観測する大きな地震でありました。
この地震により、お亡くなりになった皆さまに哀悼の意を表し、御冥福をお祈りいたしますとともに、
被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
今後一週間程度は最大震度六強程度の揺れに警戒するよう、気象庁も呼びかけており、
被害の把握に努めながらも最大限の注意を払っていかなければなりません。

さて、今年の三月十一日は、あの日とは異なり、穏やかな天気となりました。
私は、地元仙台市若林区の東六郷コミュニティ広場で、
地域の皆さんとともに、静かに十四時四十六分を迎え、黙祷を捧げました。
あの東日本大震災から十一年を経て、「宮城県震災復興計画」の理念は「新・宮城の将来ビジョン」に受け継がれ、
復興の完遂に向けた取組が続いております。
また、今年度は、コロナ禍の中ではありましたが、
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会や第四〇回全国豊かな海づくり大会など、
これまでの御支援への感謝の念や、復興が進んだ本県の姿を各地に発信する機会にも恵まれました。
震災復興という視点からは、大きな転換点となる一年であったようにも思います。
一方で、三月十一日を迎える度、私の脳裏には、
過去に例の無い甚大な被害を受けた県土や県民の皆様の生活が鮮明に思い出されます。
あのとき、文字通りゼロからつくりあげていかねばならない状況において、
自分には何ができるのか、熟慮を重ねた後に、
自宅周辺の片付けにはじまり、がれき処理や文房具など支援物資を集めるボランティアなど、
必死になって行動し実践した日々が鮮明に思い出されます。
その後、私は有権者の皆様の御支援を賜り、県議会に身を置くこととなりましたが、
県執行部の皆さまとともに車の両輪を担う立場として、
今後とも被災された方々に寄り添い続けていくこと、
そして真の復興に向け全力を傾け、本県における創造的復興を実現し続けていくことを、
改めてお約束するものであります。

さて、今年度の県政運営に目を転じますと、昨年度に続き、
新型コロナウイルス感染症の推移に細心の注意を払いながらの一年となりました。
一月以降はオミクロン株の感染が拡大し、
現在もなお県独自の「緊急特別要請」が続いているところであります。
現場の第一線で御尽力をいただいております医療従事者の皆様をはじめ、
感染症への対応にあたられている全ての皆様、及び県当局には、この場を借りて心より感謝の念を申し上げます。

こうした中、令和四年度当初予算案の知事説明にあたり、
そして昨年の県知事選の演説におきましても、
村井知事からは人口減少への強い危機感が示されたものと私は感じております。
今後二十五年間で約五十万人が減少するという試算は、
我々の経験や想像をはるかに超え、その影響は広範囲に及ぶものと考えられます。
今議会においては、「次世代育成・応援基金」の設置に係る条例案や
当該基金を活用した新たな事業を盛り込んだ予算案が提案されるとともに、
効率的な行政運営に向けたデジタル技術の活用や外国人材の受入促進策も拡充が図られるなど、
急激な人口減少を見据えた、先手先手の施策が打ち出されており、大きく評価するところであります。

その上で、今議会に提出されている議第一号議案、令和四年度一般会計予算案は、
「宮城の未来を育むハートフル予算」として、ただいま申し上げた本格的な人口減少局面への対応のほか、
震災からの復旧・復興や新型コロナウイルス感染症対策、脱炭素社会の実現に向けた取組といった
県政の重要課題への対応に必要な予算が適切に計上されており、時宜を得た内容であると考えます。
具体的には、通常分は、新型コロナウイルス感染症対策に必要な予算が計上されていることもあり、
当初予算としては過去最大の規模となりましたが、既存事業の見直しなど財政面の対応も怠りなく行いながら、
子ども・子育てへの支援施策のみならず、富県宮城を支える県内産業の振興や、
誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会づくり、強靭で自然と調和した県土づくりといった施策にも、
バランス良く予算が計上されております。
また、震災対応分としては、金額的には昨年度に続く大幅な減少となりましたが、
心のケアや地域コミュニティの再生など、中長期的な支援が必要となる取組に、しっかりと対応できる予算となっております。

以下、今回の予算案に対する反対討論への所感を述べさせていただきます。

はじめに、マイナンバーカードの普及促進についてであります。
この制度は、行政の効率化や住民の利便性向上等を目的としており、
私たちの日常生活に大きなメリットをもたらすものであります。
県としてその普及を図ろうとする取組は、公平・公正な社会を実現するインフラの浸透を図るという観点からも、
極めて重要なものであり、反対する理由は、何ら、見当たりません。

次に、水素エネルギーの利活用については、
「創造的な復興」に向けた取組の一つとして施策展開が図られているところでありますが、
昨今の世界情勢を踏まえると、多様な形でのエネルギー確保策を模索することは、
県民生活を預かる県の立場として、当然のことであると考えます。
わが会派では「県議会における一部議員のエネルギー議論を聞いていると、ロウソクの世界を求めているのではないか」
という厳しい意見も出ております。
「ロウソクの世界を求めているのではない」というのであれば、
代替案として理想のエネルギー電源構成をお示しいただき、議論を活性化させていただきたいものです。
また、開会日において知事からも言及があったとおり、
再生可能エネルギーの利活用に向けた計画や条例案の検討も進められているところであり、
我が県が水素エネルギーのみに注力しているかのような指摘は、全くあたらず、頓珍漢の極みであると考えます。

そして、保健所の組織体制の見直しについては、
先の定例会において、行政機関設置条例の一部改正を審議するにあたり、
与野党問わず多くの議論を重ねた上で、県議会として議案を可決しております。
今回の組織体制の見直しは保健所の専門性の強化と災害発生時の機動的な応援体制の確保を目的としたものであり、
また、先の定例会における附帯意見も踏まえ、地元に対する丁寧な説明を行いながら調整を進めている点からも、
適切な対応がなされていると評価するものであります。

また、四病院の統合・合築に関しては、
県民生活や、そこで働く医療従事者の生活に与える影響には留意が必要でありますが、
仙台医療圏におけるバランスのとれた医療体制の確保と病院の持続的な経営の実現を目指すものであること、
また、東北労災病院や仙台赤十字病院の判断をはじめ、
地域の声や専門家の意見も踏まえながら今後の検討が進められることは説明があったところであり、
私としては、そのような県の姿勢は理解できるものであり、
今後引き続き議論を深めていくべきであると考えております。

そして、高等技術専門校の再編整備に関しては、
若年者人口の減少や企業が求める人材の変化を踏まえ、長きにわたり検討が進められてきたものであります。
また、再編整備と並行して、各地域における訓練機会の確保策や仙台圏域以外での就職に向けた方策などについて、
関係自治体などとの協議を進めるともうかがっており、反対すべき理由は見受けられません。

また、仙台空港の二十四時間化については、
国管理空港として全国初の民営化が行われて以降、旅客数の着実な増加を続けていた仙台空港が、
「東北の玄関口」として、その潜在力を遺憾なく発揮することが期待される取組であります。
昨年二月の地元自治体との覚え書きの締結は、
周辺地域にお住まいの方との十分な意見交換を経た上で行われているところであり、
近隣住民の不安には引き続き配慮しつつ、むしろコロナ禍後を見据え、
我が県のみならず東北全体の発展に向け、その推進を積極的に図っていくべきものと考えます。

そして、広域防災拠点の整備については、
様々な事情により当初の想定と比較して事業期間が延びているところではありますが、
東日本大震災で甚大な被害を受けた教訓を踏まえ整備を進めているものであること、
また一昨日のような地震がいつ起きるともわからないことを考えると、
先ほどの反対討論では、事業期間が延びていることを理由として予算に反対されていましたが、
一日も早い、速やかな整備を県に求める姿勢こそが、
最大の被災県である我が県にとって最善の対応であると考えますがいかがでしょうか。

また、一次産業における後継者対策については、
全国的にも大きな課題であり、その重要性は理解をするところです。
一方で、新年度に向けては、女性の新規就農者確保に向けた支援や、
「みやぎ森林・林業未来創造カレッジ」における取組など、担い手の裾野を拡げる事業も計上されているところであり、
その効果を見極めつつ、必要に応じて、建設的な議論を重ねていくことが重要であると考えます。

さらに、少人数学級については、
これまでの要望が実現する形で、国が段階的に拡大を進めているところであり、
また、コロナ対策という点に着目しても、スクールサポートスタッフに係る予算が計上されているなど、
対応が図られているものと考えます。

以上、申し上げてまいりましたが、反対の立場を表明される皆様には、
「木を見て森を見ず」という例えを改めて御認識いただきたいと思います。
県内には、新型コロナウイルス感染症対策や震災復興への対応など、
今回の予算を待ちわびる多くの県民の姿があります。
そのような状況において、県が進める一連の施策の一部に反対であることをもって、
予算の全てに反対の姿勢を示すことは、誠意ある姿勢とは考えにくいものであります。
予算の修正や減額といった対応も可能な中、県民の負託を受け、
県執行部と車の両輪としてその幸福を追求すべきわが宮城県議会が、
今回提案されている議案を、仮に全会一致で可決できないのだとするならば、それは極めて残念なことであります。

次に、議第十二号議案、議第十三号議案、議第十五号議案、議第七十三号議案、議第七十四号議案及び議第七十六号議案は、
水道用水供給事業会計、工業用水道事業会計、流域下水道事業会計に係る来年度当初予算案及び今年度補正予算案であり、
「みやぎ型管理運営方式」に関連する経費が計上されていることを理由として議案に反対するとのことであります。
もちろん、県民生活や事業活動に欠かすことのできない水を安定的に供給することの重要性は、
私が申し上げるまでもなく、ここにお集まりの皆様の総意と思います。
そうであればこそ、全国に先駆けた今回の取組には、
県議会としてもしっかりとチェック機能を果たしていく必要があり、
今議会も含め、長きにわたって県執行部との間で多くの議論を交わし、
自由民主党・県民会議としましても、懸念される事項について厳しく指摘をしてまいりました。
このような経過を踏まえ、制度開始を来月に控えたこの段階で、
これまでの議論を根本から覆すかのような対応には、大いに疑問を感じるところです。

次に、議第十七号議案、職員定数条例の一部を改正する条例は、
学級数の変動等に伴い、学校教職員の定数を四十七人減員するものであります。
先ほどの反対討論からは、学校教職員が減少する内容となっていることが反対の理由と思われますが、
教育環境の充実に向けては、単に県全体の定数に着目するのではなく、
教員の多忙化の改善に向けた種々の取組や、
国が段階的に進めている少人数学級の拡大がもたらす効果を踏まえた上での議論が必要であり、
議案の内容には問題が無いものと考えております。

なお、この場をお借りして、私から知事に対しても一言申し上げたいところがあります。
昨年の知事選挙で示された政策集には、県政運営の基本姿勢の一つとして「衆知を集める県政」が謳われております。
そこには「県民の皆様の懐に飛び込んで」、
あるいは、「情報公開等を通じて県政の透明性を確保して」、
さらには「市町村のご意見をよく聞き」といった説明がありました。
私は、東日本大震災をはじめとする困難な県政課題への対応にあたり、
国などとのハードな交渉にも臆すること無く向きあってきた村井知事の功績を評価するものではありますが、
四病院の統合・合築や「みやぎ型管理運営方式」といったテーマは、県民生活の根幹に関わるものであり、
県民の皆様や私ども県議会に対する丁寧な説明は、何にも増して重要なものであります。
今回の予算案の内容に疑義はありませんが、
今後の議論や予算の執行にあたりましては、五度目の知事選挙における大差での勝利を背景に、
よもや慢心されることの無いよう、政策集の内容を踏まえた、
ハートフルな御対応をお願いするものであります。

縷々申し上げましたが、ただ今取り上げたもの以外の議案も含め、
代表質問や一般質問、予算特別委員会や常任委員会において慎重かつ厳正な審査が行われており、
各委員会の委員長からも原案を可決すべきものと決した旨の報告がありました。
こうした経過を踏まえると、今定例会に提案されております議案について、
是非とも本会議において可決成立させ、速やかな事業の実施に繋げることが、
我々県議会の果たすべき責任であると考えます。

予算の一部分に反対だからといって市町村財政や県民の暮らしに関連する
当初予算全てに反対の姿勢を示すのはいかがなものでしょうか。

震災復興政策を含む本予算を否決するということは、
「心の復興」も含めて未だ途上である震災復興を、新年度からストップさせることになります。
震災からの心の復興をも否定するのでしょうか。

「次世代育成・応援基金造成費」を含む本予算を否決するということは、
子育て世代への支援策をストップさせることになります。
子供たちの未来を応援する政策を否定するのでしょうか。

新型コロナウイルス感染症対策を含む本予算を否決するということは、
医療提供体制の確保に不安を覚えている多くの県民に何というのでしょうか。
安全安心の政策を否定するのでしょうか。

飲食店などコロナにより大きな打撃を受けている事業者の皆さんを支援する、
経済政策を含む本予算を否決するということは、
などなど、きりがありませんが、
当初予算に反対をするということは、経済政策だけではなく、
復興、福祉、子育て、困窮者支援などあらゆる政策を全否定するということになりますが、果たしてそれでよいのでしょうか。

付言すれば、釈迦に説法ではありますが、
そもそも議会は予算を修正して可決することも可能であります。
日本共産党宮城県会議員団は少数会派ではないのですから、
県政に対する議会の果たす役割と責任の中で大局的な視点を持ちながら、チェック機能を果たすべきです。

県民の生活を守るのか。それとも、切り捨てるのか。
二者択一の選択であります。

現時点で反対の立場をとっておられる議員におかれましては、
いま一度、お考えいただき、賛成をしていただきますよう、心よりお願い申し上げます。

今からでも遅くはありません。

以上、それぞれの議案について述べさせていただきましたが、
議員各位の御理解と御賛同をお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。

御清聴、まことにありがとうございました。

───────────────────────────────

賛成討論の内容についてのご感想、
ご意見、ご質問などいただければありがたく存じます。

すべてにお返事はできませんが、
今後の活動に役立ててまいります。

「渡辺勝幸 宮城県議会県政活動報告」(ブログ)
⇒ http://cuccanet.blog72.fc2.com/blog-category-42.html

(第4203号 令和4年3月18日(金)発行)