趣味起業家の実態と課題~「2018年度新規開業実態調査(特別調査) 」
私が代表を務めている「つくる仙台」では、
平成26年と27年に、中小企業庁「地域創業促進支援事業」の委託を受け、
起業したいという方々のための創業スクールを開催しました。
その後数年がたち、現在では、
その受講生が起業家として各方面で羽ばたき大活躍しています。
すばらしいことだと思いながら、
私も負けないように頑張ろうと思いますし、
今年も新たな起業志望者が続くような仕組みづくりをしていきたいと思っています。
毎年、日本政策金融公庫では、
起業に関する調査を公表していますので、
起業支援をしている方々、
起業したいなと思っている方々は
目を通しておくのがよいのではないかと思っています。
ちなみに過去の調査についても、
紹介しております。
「開業者に占める女性の割合は過去最高ー日本政策金融公庫総合研究所『2017年度新規開業実態調査』」(H30/1/4)
「開業時の平均年齢は42.5歳─日本政策金融公庫総合研究所「2016年度新規開業実態調査」」(H29/1/3)
「『中小企業の海外事業再編』~海外撤退の実態とその後の事業展開~(日本公庫総研レポート)」(H28/1/3)
「新規開業企業は既存企業よりも売上増加傾向が顕著─日本政策金融公庫「2014年度新規開業実態調査」」(H27/1/3)
「女性起業家の開業が経済活性化のカギを握る─日本政策金融公庫総合研究所調査」(H26/1/3)
「55歳以上シニア起業家の開業─日本政策金融公庫総合研究所調査」(H25/1/3)
この調査をもとに私自身も、
起業支援の方向性を考えています。
この調査を読み、
女性起業家支援に力を入れた年もあれば、
海外ビジネス支援を重視すべきと考えた年もありました。
今回最新の調査は、以下のレポートです。
日本政策金融公庫総合研究所「趣味起業家の実態と課題~『2018年度新規開業実態調査(特別調査)』結果から~」(2018年12月11日)
まず、「趣味起業家」の定義ですが、
開業動機として「趣味や特技を生かしたかった」と回答した新規開業企業
を指しているとのことです。
以下、シェアしていきます。
【一 調査目的と実施要領等】
1 調査目的
開業率の向上が大きな政策課題となっていることから、
新規開業企業の実態を把握することは重要である。
このため日本政策金融公庫総合研究所では、
1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施し、
開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータ等を蓄積すると同時に、
さまざまなテーマで分析を行ってきた。
調査では開業動機についても尋ねており、
今回はそのなかで「趣味や特技を生かしたかった」と回答した企業を「趣味起業家」として、
それ以外の新規開業企業と比較する方法で分析する。
趣味起業家の割合は10%に満たず、これまで当調査では詳細な分析を行っていなかったが、
副業やフリーランスなど起業のかたちの多様化に伴い、開業の目的として、
収入の増加や家計の維持よりも、趣味や特技を生かして自己実現を図ること自体を重視する企業も増えることが予想される。
今後の起業動向を把握するとともに、起業支援を考えるうえでの材料にしたい。
開業率の向上が大きな政策課題となっていることから、
新規開業企業の実態を把握することは重要である。
このため日本政策金融公庫総合研究所では、1991年度から毎年「新規開業実態調査」を実施し、
開業時の年齢や開業費用など時系列で比較可能なデータ等を蓄積すると同時に、
さまざまなテーマで分析を行ってきた。
調査では開業動機についても尋ねており、
今回はそのなかで「趣味や特技を生かしたかった」と回答した企業を「趣味起業家」と呼び、
それ以外の新規開業企業と比較する方法で分析する。
趣味起業家の割合は10%に満たず、これまで詳細な分析を行っていなかった。
しかし、副業やフリーランスなど起業のかたちの多様化に伴い、開業の目的として、
収入の増加や家計の維持よりも、趣味や特技を生かして自己実現を図ること自体を重視する企業も増えることが予想される。
今後の起業動向を把握するとともに、起業支援のあり方を考えるうえでの材料にしたい。
2 実施要領
(1)調査時点 2018年7月
(2)調査対象 日本政策金融公庫国民生活事業が2017年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、
融資時点で開業後4年以内の企業(開業前の企業も含む)10,642社
(3)調査方法 調査票の送付・回収ともに郵送、アンケートは無記名
(4)回 収 数 2,160社(回収率20.3%)
※開業動機について回答した企業のみを有効とした。
3 分析対象と比較対象
○ 分析対象:
開業動機に「趣味や特技を生かしたかった」を選択した新規開業企業 …「趣味起業家」
○ 比較対象:
開業動機に「趣味や特技を生かしたかった」を選択しなかった新規開業企業 …「趣味起業家以外」
【二 調査結果】
1 趣味起業家の属性
~従業者規模は相対的に小さい~
○ 開業業種は、「飲食店・宿泊業」(27.9%)、「サービス業」(21.4%)、「小売業」(20.8%)の順に多い。
そのうち、「飲食店・宿泊業」「小売業」の割合は、趣味起業家以外と比べて高い。
○ 従業者数は、開業時、調査時点ともに「1人」が最も多く、その割合は趣味起業家以外と比べて高い。
平均従業者数は、開業時(2.7人)、調査時点(3.4人)ともに趣味起業家以外と比べて少ない。
○ 主な販売先・顧客は、「一般消費者」が84.9%を占め、
その割合は趣味起業家以外(65.6%)よりも高い。
~女性や主たる家計維持者ではない人の開業が多い~
○ 開業時の年齢は、40歳代が33.1%と最も多い。
趣味起業家以外と比べると、29歳以下(13.0%)と60歳以上(9.1%)の割合が高くなっている。
○ 開業者に占める女性の割合は、28.6%と趣味起業家以外(18.3%)に比べて高い。
○ 現在の事業に関連する仕事をした経験が「ある」割合は、
65.6%と趣味起業家以外(82.6%)よりも低い。
○ 「主たる家計維持者である」割合は、78.8%と趣味起業家以外(84.8%)と比べて低い。
2 趣味起業家の働き方
~約4分の1が副業起業家~
○ 「勤務を辞めてから事業を立ち上げた」割合は73.6%、
現在あるいは開業時に勤務者であった「副業起業家」の割合は26.4%となった。
副業起業家の割合は、趣味起業家以外(20.0%)と比べて高い。
○ 「勤務を辞めてから事業を立ち上げた」人の直前の職業は、
「正社員(管理職)」が36.7%と最も多い。
○ 現在の事業のほかに就いている職業が「ない」割合は66.4%と最も多いが、
趣味起業家以外(72.2%)と比べると少ない。
一方、「パートタイマー・アルバイト」(11.2%)や「主婦・主夫」(7.5%)などは、
趣味起業家以外を上回っている。
~半数以上が事業以外からも定期的な収入を得ている~
○ 事業からの経営者本人の収入が経営者本人の定期的な収入に占める割合は、
「100%(他の収入はない)」が46.9%と最も多いが、
趣味起業家以外(52.6%)に比べると低い水準である。
「25%未満」は31.7%と2番目に多く、趣味起業家以外(21.6%)と比べて高い水準となっている。
世帯の収入に占める割合は、「25%未満」が38.4%と最も多い。
○ 主な事業所までの通勤時間が「15分未満」の割合は、66.2%と趣味起業家以外(57.5%)よりも高い。
○ 1週間当たりの労働時間は、「50時間以上」が59.3%と最も多く、趣味起業家以外(54.7%)と比べて多い。
3 開業の経緯と開業後の取り組み
~開業動機が「収入を増やしたかった」人は少ない~
○ 開業動機(「趣味や特技を生かしたかった」を除く二つまでの複数回答)は、
「自由に仕事がしたかった」が40.3%と最も多く、
次いで「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」と
「自分の技術やアイデアを事業化したかった」が37.0%となっている。
「収入を増やしたかった」(16.9%)は5番目と、
趣味起業家以外(3番目)と比べて順位が低い。
~約8割の開業準備期間が「1年未満」~
○ 現在の事業に決めた理由は、「趣味や特技を生かせるから」が27.8%と最も多く、
次いで「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」(24.3%)、
「身につけた資格や知識を生かせるから」(19.4%)の順となっている。
趣味起業家以外と比べると、「趣味や特技を生かせるから」のほか、
「新しい事業のアイデアやヒントを見つけたから」の割合が高い。
○ 開業準備期間は、「1年未満」が74.1%を占める。
平均は、12.7カ月と趣味起業家以外(9.3カ月)と比べて長い。
○ 開業計画書を作成した割合は、86.5%と趣味起業家以外(80.6%)よりも高い。
~開業に必要な技術やノウハウを「勤務経験を通じて身につけた」人が半数~
○ 開業に必要な技術やノウハウを「勤務経験を通じて身につけた」割合は、50.0%と最も多いものの、
趣味起業家以外(71.0%)を20%ポイント以上下回る。
次いで「関連書籍等を使って自学自習した」が32.5%、
「同業者と意見交換を行った」が29.2%の順となっている。
趣味起業家以外と比べると、「同業者を巡り研究した」(26.6%)や
「習い事を通じて身につけた」(12.3%)などの割合が高い。
~「顧客・販路の開拓」や「資金繰り、資金調達」に苦労~
○ 開業時に苦労したこととして、「顧客・販路の開拓」(49.3%)や
「資金繰り、資金調達」(37.3%)を挙げる企業の割合が高い。
現在苦労していることをみても、この二つの回答は割合が高い。
○ 趣味起業家以外と比べると、開業時、現在ともに「商品・サービスの企画・開発」や
「経営の相談ができる相手がいないこと」「業界に関する知識の不足」などの割合が高い。
○ 開業時と現在を比べると、「従業員の確保」や「家事や育児、介護等との両立」などの割合が増加している。
~約6割が「法律・会計の知識の習得」についてのアドバイスを希望~
○ 開業準備段階から現在までに「受けた」アドバイスは、
「資金調達の方法(借り入れ自体を除く)」が47.4%と最も多い。
「法律・会計の知識の習得」は、36.9%と2番目に多く、
今後5年間に「受けたい」アドバイスでは、58.8%とさらに増加している。
○ 趣味起業家以外と比べると、
「仕入先・外注先の確保」の割合がいずれでも高くなっている。
4 開業後のパフォーマンス
~6割以上の月商が「100万円未満」~
○ 現在の月商が「100万円未満」の割合は、
64.2%と趣味起業家以外(37.5%)に比べてかなり高い。
○ 開業前に目標とした月商を達成している割合は、
30.1%と趣味起業家以外(44.1%)よりも低い。
○ 現在の採算が「黒字」の割合は53.4%、「赤字」は46.6%となった。
黒字の割合は、趣味起業家以外(62.6%)と比べて低い。
○ 同業他社と比べた現在の業況が「良い」割合は、
51.1%と趣味起業家以外(54.5%)と比べてやや低い。
~事業を承継していきたいと考えている割合は2割を下回る~
○ 開業に対する総合的な満足度について「かなり満足」と回答した企業割合は24.0%、
「やや満足」は42.7%となった。
仕事のやりがいについて「かなり満足」と回答した企業割合は、
42.0%と趣味起業家以外(32.5%)と比べて高い。
○ 将来の生活に対して不安を「感じている」割合は、半数以上である。
他方で、不安を「感じていない」割合は、27.7%と趣味起業家以外(22.9%)よりも高い。
○ 現在の事業を「自分で続けられる間は続けたい」と回答した企業割合は7割以上となった。
一方、「承継したい」割合は、18.8%と趣味起業家以外(28.8%)と比べて低い。
【三 まとめ】
~趣味起業家について~
○ 開業動機に「趣味や特技を生かしたかった」を選択した企業(「趣味起業家」)の割合は7.1%
業種は、「飲食店・宿泊業」が27.9%と最も多く、次いで「サービス業」(21.4%)、
「小売業」(20.8%)の順となっている。
「飲食店・宿泊業」「小売業」の割合は、趣味起業家以外に比べて高い。
主な販売先・顧客は、「一般消費者」の割合が84.9%と趣味起業家以外(65.6%)と比べて高い。
○ 従業者規模は相対的に小さい
平均従業者数は、開業時で2.7人、調査時点で3.4人となっており、
趣味起業家以外(開業時:3.5人、調査時点:5.1人)と比べて少ない。
○ 女性の割合が相対的に高く、現在の事業に関連する仕事をした経験は相対的に少ない
趣味起業家は女性の割合が28.6%と、趣味起業家以外(18.3%)に比べて高い。
また、現在の事業に関連する仕事をした経験が「ある」割合は、
65.6%と趣味起業家以外(82.6%)よりも低い。
○ 半数以上が事業以外からも定期的な収入を得ている
趣味起業家の21.2%が「主たる家計維持者ではない」と回答しており、
趣味起業家以外の15.2%を上回る。
また、勤務者を続けながら副業として起業した割合は26.4%で、
事業以外から定期的な収入を得ている割合も53.1%に上る。
さらに、4割近い企業が、事業からの経営者本人の収入が世帯の収入に占める割合が「25%未満」と回答している。
○ 「収入を増やしたかった」から開業した人は少ない
「趣味や特技を生かしたかった」を除く開業動機をみると、
「自由に仕事がしたかった」が40.3%と最も多く、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(37.0%)と
「自分の技術やアイデアを事業化したかった」(37.0%)が続いている。
「収入を増やしたかった」は、趣味起業家以外では3番目に多い動機だが、趣味起業家では5番目(16.9%)と順位が低い。
○ 「顧客・販路の開拓」や「資金繰り、資金調達」に苦労
開業時、現在ともに「顧客・販路の開拓」や「資金繰り、資金調達」に苦労している企業が多い。
趣味起業家以外と比べると「商品・サービスの企画・開発」や
「経営の相談ができる相手がいないこと」「業界に関する知識の不足」などに苦労している割合が高い。
また、今後5年間に受けたいアドバイスは、「法律・会計の知識の習得」が最も多い。
○ 開業後のパフォーマンスは低いが、満足度は遜色ない日本政策金融公庫総合研究所「趣味起業家の実態と課題~『2018年度新規開業実態調査(特別調査)』結果から~」(2018年12月11日)
現在の月商が「100万円未満」の趣味起業家は、64.2%と趣味起業家以外(37.5%)を大きく上回り、
開業時の目標月商を達成できていない割合も高い。
「赤字」企業の割合も46.6%となっている。
現在の満足度は、事業からの収入に関しては低いが、
仕事のやりがいに関しては4割以上が「かなり満足」と回答しており、
総合的にみると趣味起業家以外と比べて遜色のない水準となっている。
事業の継続については、7割以上が「自分で続けられる間は続けたい」と回答した一方、
「承継したい」と回答した割合は18.8%と趣味起業家以外(28.8%)に比べて低い。
起業志望の方、
起業したばかりの方、
そして経営者になってまだこれからという方は、
ぜひ参考にしていただければと思います。
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そして私渡辺勝幸が、
久しぶりに経営セミナーの講師をしますのでご案内します。
1月25日(金)18時30分より、
仙台東倫理法人会主催のイブニングセミナーにおいて、
「ちいさな会社の社長のためのセミナー」
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セミナーは【無料】、その後の懇親会は3000円会費です。
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つくる仙台創業スクールなど、
今まで私が行ってきた経営セミナーの内容を
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どなたでも参加できますので、
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仙台東倫理法人会
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セミナー 18時30分より
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ご参加の方は、仙台東倫理法人会(022-217-0057)へご連絡ください。