宮城県議会自民会派で県外調査─愛知県、京都市、大阪府
宮城県議会の自由民主党・県民会議で、
県外の先進事例等調査視察に行ってまいりました。
私は途中合流という形で完全参加はできなかったのですが、
一部について政策形成のヒントにもなりますので、
皆さんにシェアしたいと思います。
●あいち産業科学技術総合センター(愛知県豊田市)
愛知県豊田市にある「知の拠点あいち」では、
付加価値の高いモノづくり技術の研究開発拠点として、
あいち産業科学技術総合センター
あいちシンクロトロン光センター
新エネルギー実証研究エリア
からなる施設です。
特に、宮城県においては仙台市の東北大青葉山新キャンパスにおいて、
国内初となる次世代型放射光施設の運用を令和5年より開始する予定です。
「知の拠点あいち」では学術研究というよりも、
地の利を生かした自動車産業を中心とした、
様々なモノづくりのためにこうした高度技術が役に立っているようです。
近年、ものづくりのレベルも高度化し、
こうした最先端の施設を大学や大企業だけではなく、
中小企業も利用することによって、
表面分析、成分分析、構造解析、試作造形など、
多様なニーズに安価に応えられるようになっているそうです。
次世代放射光施設もそうですが、
中小企業がこうした最先端の技術を利用することで、
新たなモノづくりの展開、
大学の研究などのシーズをビジネスにしていくことができるのだと思います。
実際にここでは、
介護医療コンシェルジュロボットの研究開発など、
「次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト」、
燃料電池フォークリフト用充填装置と水素製造触媒装置の開発など、
「近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクト」、
シンクロトロン光の清酒製造プロセスへの活用など、
「モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクト」などなど
種々のイノベーション創出が起こっています。
村井県政が始まって以来、
宮城県で自動車産業などモノづくりが大きくなってきています。
このよい流れをさらに進め、
イノベーションを起し続けるためには、
東北大などの研究成果、こうした高度な施設を利用して、
中小企業の発展につなげていきたいものです。
●デンソー本社(愛知県刈谷市)
デンソーは、自動車部品の世界シェア第1位という、
日本のみならず世界を代表する企業です。
前身はトヨタ自動車の開発部門であり、
現在もトヨタグループに属しており、
売上高は年間5兆円。
自動車やバスのエアコンシステム、トラック用冷凍機、ラジエータ、
エンジン関連製品、油圧制御バルブ、
ハイブリッド車、電気自動車の駆動・電源システム、
ワイパシステム、パワーウインドウモーター、
コックピット製品、産業用ロボット、農業生産向け機器・クラウドサービスなどなど、
多岐にわたります。
過去には携帯電話端末なども生産していましたが、
超大企業と言えると思います。
多くの製品を世の中に送り出している企業ですが、
東日本大震災後の復興支援にも大きな力をいただいています。
宮城の子供たちはじめたくさんの支援をいただきましたが、
有難く感じるとともに社員の方々にとっても有意義な活動であるとも感じられました。
あらためて感謝です。
●京都市役所(宿泊税政策)
京都市では平成29年11月に宿泊税の導入が議会で条例可決されました。
インバウンドはじめ京都を訪れる観光客の増加により、
受入れ環境整備や交通渋滞対策などの課題が生じていました。
これを受け、宿泊者から2万円未満の宿泊料金の場合200円を徴収し、
平成30年度は19億円、平成31年度は42億円を以下の事業に充てているとのことです。
混雑対策・分散化、民泊対策、宿泊事業者支援・宿泊観光推進、
受入環境整備、国内外への情報発信、
京都ならではの文化振興・美しい景観の保全
宿泊税は、東京都や大阪府も導入していますが、
京都市の場合は渋滞などの課題を踏まえて、
有識者会議や宿泊事業者、商工会議所も、
観光客のさらなる呼び込みにつながる使途であれば賛成ということで、
街をあげての後押しがあったようです。
徴収対象と使途の関係、受益と負担の関係をよく考えていかなければならないと感じたところです。
●大阪府津波・高潮ステーション(大阪市西区)
大阪は海抜0メートル地帯が多く、
この地表の高さが満潮時の平均海水面よりも低い土地に住む人口は、
約108万人なのだそうです。
仙台市の人口ぐらいあります。
大阪では昭和初期から工業用水として多量の地下水を汲み上げたため、
地盤沈下が起こり深刻な問題に。
そして防潮堤が、
海水面より低い住居地域を守っています。
昔から大阪では高潮の被害が多いそうで、
室戸台風やジェーン台風では人的被害が大きかったとのこと、
水との戦いが歴史的にあるのだそうです。
また、津波災害体感シアター(ダイナキューブ)もあり、
実際に大阪で津波が発生したらどうなるかを体感できる施設でした。
大阪市浪速区の大正橋のたもとにある
石碑のレプリカも設置されており、
安政南海地震の翌年(1855年)に建てられたこの石碑は、
148年前の宝永南海地震の教訓を活かせずに多くの犠牲を出した悔しさとともに、
教訓を活かすことの大切さを伝えています。
東日本大震災の教訓を全国で生かしていくとともに、
次の世代にどう伝えていくかということは、
宮城県にとって大きな課題であると感じます。
人は忘れていくものですが、
どうやって後世に伝えていくか、
むずかしいことではありますが、
まずは私も子供や孫たちに伝えていかなければと思っています。
南海地震、東南海地震、東海地震は
いつ起こってもおかしくないと言われています。
あまり思い出したくない記憶でもありますが、
知見は共有し後世に伝えていかなければなりません。
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今回も今後の県政に生かせる情報、お話をたくさんいただきました。
インターネットでの情報収集、書籍や雑誌での情報収集も大事ですが、
本質的な部分は直接見聞しなければと今回も感じたところです。
今後の県政活動に生かしていきたいと思います。