憲法世論調査の内容と新聞記事タイトルの違和感について

本日5月3日は、憲法記念日です。

「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」
ことを趣旨とした国民の祝日ですが、

昭和22年5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念したものとされ、
今年でなんと77年という月日が経ったことになります。

昨日、『河北新報』朝刊を見たところ、1面トップに、
共同通信社の憲法に関する世論調査の結果が掲載されており、
そのタイトルは、

「改憲議論 急ぐ必要なし65%」

というものでした。

ここだけを見ると、改憲を慎重にという声が7割近くあるのかと思うわけですが、
同紙の記事内に詳細な世論調査の結果も掲載されており、よく読んでみました。

すると、

【問2 あなたは憲法を改正する必要があると思いますか、改正する必要はないと思いますか。】

という質問に対する回答では、

改正する必要がある 28
どちらかといえば改正する必要がある 47

どちらかといえば改正する必要はない 16
改正する必要はない 7

無回答 2

となっており、「どちらかといえば」を含めれば

「改正する必要がある」は75%、
「改正する必要はない」は23%

になっているわけです。

4分の3が改正する必要があると答えているにもかかわらず、
新聞の1面トップの記事では

「改憲議論 急ぐ必要なし65%」

となっているのは、あまりにも無理があるのではないかと感じました。

それではこのタイトルの根拠となっている問いを見てみたところ、

【問15 岸田文雄首相は自身の自民党総裁任期である9月までの憲法改正に意欲を示しています。
あなたは、国会で憲法改正を巡る議論を急ぐ必要があると思いますか、急ぐ必要はないと思いますか。】

という質問であり、これに対する回答は、

急ぐ必要がある 33
急ぐ必要はない 65

無回答 2

となっていました。

この世論調査は全部で18問となっていますが、
世論調査結果も詳細が記事にありますので、
それぞれの結果を丁寧に見ていくと、

憲法改正問題に関心があり、
憲法は改正する必要があり、

憲法9条と自衛隊について、社会保障などの生存権、大災害時などの緊急事態について議論してほしいと考えており、

緊急事態に国会議員の任期や選挙期日を延長できるよう憲法改正すべきであり、

大規模災害、感染症まん延、他国から攻撃を受けた時に、緊急事態条項を憲法に新設すべきである、

といったことなどを読みとることができます。

にもかかわらず、1面トップのタイトルの印象は、
世論調査結果を詳細に読むと、異なるものとなっています。

確かに、問15のような聞き方をされれば、
現在の政治とカネの問題を含め、
自民党に対する世間のご批判はもっともなものがあり、
岸田総理に対する政治的な不満を考えれば、

「やるべきことは他にあるだろう」

という意見が多くなるであろうとは思います。

つまり、問2と問15のちがいは、
「誰がやるか」という議論になってしまっているわけです。

しかしそこで考えるべきと思うのは、
政治に限らず、ビジネスの世界でも、
そしてどのコミュニティの世界においても大事だと思うのですが、

「ひと(誰が問題か)」ではなく、
「こと(何が問題か)」に向き合うこと。

ここを大切にすることが大事なのではないでしょうか。

私も日常の政治判断のなかで、
時々やはり「ひと」に焦点を当ててしまいがちなのでその都度反省していますが、
できる限り「ひと」を度外視して「こと」の是非を考えるよう努力をしています。

よりよい政治をつくるために、
よりよい社会をつくるために、
政策の議論をするときには、

「ひと(誰が問題か)」ではなく、
「こと(何が問題か)」に向き合うよう、
私たちは考えていく必要があるのではないかと思うのです。

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今そこにある危機に対して、
具体的にどのように対応していくのか、
そのために欠けていることは何か、

こうしたことについて考えるのが、
この5月3日、憲法記念日なのだろうと思います。

毎日平和に暮らせること、
美味しいご飯をあたたかい家で家族と食べることができること、
本当にありがたいことです。

この平和を守るために、何をしなければならないか。

これからのおよそ30年は、わが国にとって大きな正念場であると私は思っています。

同じ志を持つ方々がたくさんいますので、
みなさんから様々ご指導をいただきながら、
私自身も努力していきたいと思います。

(第4980号 令和6年5月3日(金・憲法記念日)発行)