第384回宮城県議会(令和4年6月定例会)が閉会となりました ー議第114号「太陽光発電施設の設置等に関する条例」に関する賛成討論

7月5日、
第384回宮城県議会(令和4年6月定例会)が閉会となりました。

この議会では、物価高騰の影響を受ける運送業者への補助金や
新型コロナウイルス対策の費用などを盛り込んだ、
約66億円の宮城県の補正予算について採決が行われ、
全会一致で可決・成立しました。

ウクライナ情勢などに伴う燃料費高騰の影響を受ける事業者を支援するため、
トラックなどの運送業者やタクシー会社への補助金としてあわせて13億2700万円、
水産業者への支援策として、県内の港に水揚げする漁船に水揚げ額の0.4%を補助するなどの費用、
4億5000万円が盛り込まれています。

また、食材の高騰対策として、県立の特別支援学校や私立の小中学校などで提供される給食と、
子ども食堂を運営している団体への支援費、
さらに新型コロナ対策として、保育所や幼稚園などの職員に抗原検査を行う費用などが盛り込まれています。

補正予算は全会一致で可決されたものの、
発電出力が50キロワットを超える太陽光発電施設を設置する場合、
住民に対し、事前に説明することを義務づけるなどした条例案、
議第114号「太陽光発電施設の設置等に関する条例」について、
共産会派より反対討論。

その後、会派を代表して私は賛成討論に登壇しました。

本議案は、共産会派を除くすべての会派の賛成により可決されました。

この賛成討論の内容については、
下記にて全文公表しておりますので、ごらんください。

また、各会派政務調査会長会議で議論した、

「水産業の危機を打開するための支援を求める意見書」

「シルバー人材センターの安定的な事業運営が可能となるための支援を求める意見書」

を全会一致で可決。

「緊急事態に関する国会審議を求める意見書」

については、共産、社民会派が反対討論。
自民会派から遠藤隼人政調会副会長が賛成討論の後、採決。

県民の声、共産、社民の各会派が反対、無所属の会が退席したものの賛成多数で可決しました。

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新型コロナウイルス感染症対策に加え、
物価高騰対策もこの議会では議論し、補正予算として実行していきます。

参院選後の国の経済対策を踏まえ、さらなる追加対策も取り組んでいきたいと思います。

二つの意見書は全会一致で可決されましたが、
「緊急事態に関する国会審議を求める意見書」では、

「国においては、緊急時における憲法の在り方について、
 国会において建設的かつ広範な議論を促進するとともに、国民的議論を喚起」するよう要望する内容でした。

憲法の議論を進めることに反対されるとは非常に残念でありました。

また、議第114号「太陽光発電施設の設置等に関する条例」については、
ここのところ多くの課題が生じてきている、
再生可能エネルギーに対して一定の歯止めをかける内容であり、
今後もさらにきめ細やかに、さらなる議論を進めていくべきであると思いますが、
共産会派が反対されたのは意外でもあり、残念でありました。

多くのみなさんの御意見を伺い、
衆知を集める政治を常に意識しながら、
今後とも全力で取り組んでいきたいと思います。

みなさまのご支援を引き続き賜りますよう、
改めてお願い申し上げます。

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議第114号「太陽光発電施設の設置等に関する条例」
に関する賛成討論【第384回宮城県議会(令和4年6月定例会)】

自由民主党・県民会議を代表し、今議会に提出されております
議第114号議案「太陽光発電施設の設置等に関する条例」について、
「賛成」の立場から討論を行います。

初めに、先ほどの反対討論をうかがったところ、少なくとも条例の制定に関しては、
会派として「もともと共産党が言い続けてきたことであるため賛成である」かのように述べておられました。

釈迦に説法ではありますが、そもそも、議会における討論とは、
現に議題になっている事件に対して、自己の賛成または反対の意見を表明することであります。

しかも、その目的は、自己の意見に反対する者及び賛否の意思を決めていない者を自己の意見に賛同させることにあり、
賛成または反対についての理由を明確に述べながら賛否を論議すべきものです。

「何々であるから何々の部分を除いて賛成である」とか、
「何々であるから、何々の部分を何々に直せば賛成である」というような
「条件付討論」は、そもそもあり得ないものであります。

このような意見は、民主主義国家の議会においては、
質疑の段階で十分論議し、必要によっては修正案を提出するなどの措置をとるべきものです。

先ほどの討論をうかがっていると、「条例を制定することは賛成である」かのように述べながら反対討論をするという、
一般的に聞いていてもたいへんわかりにくい上に、
議会における討論の在り方を一体どのように考えているのか、
討論の在り方そのものが問われることになる発言なのではないかと感じた次第です。

さて、7月上旬というのにもかかわらず、真夏のような暑い毎日が続いております。

東北南部が6月に梅雨明けするのは史上初めてとのことであり、
また、電力需給は全国的にも予断を許さない状況であると連日、報道されております。

ウクライナ情勢等の影響もあってエネルギー価格は高止まりとなるなど、
今年の夏は、私たちの生活を支えるエネルギーに関し、例年にも増してその重要性を感じることとなりました。

そして、2050年までの脱炭素社会の実現は、我が国が総力を挙げて実現すべき大きな目標であり、
それに向けて、再生可能エネルギーを最大限に導入していくこと、
とりわけ、当面は太陽光発電の導入拡大を最優先に進めていくことは、
極めて現実的な選択であると考えるところであります。

その上で、今回提案されている条例案は、
第1条に定めのあるとおり、脱炭素社会の実現に向けて、地域と共生する太陽光発電の普及や拡大に寄与することを目的に、
地域住民とのコミュニケーションや施設の適正な設置などに関し必要な事項を規定しようとするものであり、
我が国の、ひいてはこの地球の置かれた状況に思いを致すとき、
まさに、時宜を得た内容であると考えております。

今回の条例提案に至る背景として、県内で太陽光発電施設の設置を進めるケースの中に、
住民に対する説明が不十分であるがために、トラブルが生じているものがあることは事実であります。

また、将来的な維持管理や廃棄などを見据えたときに、
不安を持たれる方がいらっしゃることも十分に理解できるところであります。

そういった状況も踏まえ、今回の条例案は、住民への事前説明をはじめとして、
これまでガイドラインによる指導の対象としてきたものを条例化するとともに、
土砂災害のおそれがある区域における設置規制や罰則規定といった新たな視点も盛り込んでいます。

また、事業計画の届出の義務化、維持管理等計画の策定・公表、
適正な維持管理等の義務化、廃止の届出の義務化などなど、
再生可能エネルギーの推進という方向性は維持しつつ、一歩踏み込んだ対応を取ろうとするものであり、

また、全国の都道府県の中で6例目の制定という積極的な対応であることも踏まえると、
私としては、今回の内容は高く評価すべきものであると考えております。

仮にこの議案に反対し否決となったならば、地域住民の不安はますます高まり、
説明不足のまま、地域と共生することのない太陽光発電の設置が進んでしまうことになりますが、
それではたしてよいのでしょうか。

反対討論の内容をお聞きすると、今回規制対象とする区域に加え、
さらに広い地域にも規制をかけるべきとの御意見のようでありますが、
例えば森林の乱開発を規制するという視点に関して申し上げれば、

既に、森林法に基づく林地開発許可や、環境影響評価、国のガイドライン、
さらにはFIT制度による認定のスキームなど、
様々な関係法令に基づく手続きが存在しております。

それに加えて今回の条例で必要以上の規制を加えることは、
屋上屋を架すようなものと言わざるを得ません。

今回の条例は、県民生活との調和を図る観点から、とりわけ危険性が高いと思われる箇所に着目する形で、
一定の規制を設けようとするものであり、区域設定の趣旨を十分に確認することなく、
その内容のみを見て是非を判断することは、「森林の乱開発云々」という話をしておきながら、
まさに「木を見て森を見ず」と申し上げるほかないのであります。

さて、今回の参議院選挙、私は日本共産党のマニフェストを拝読しました。

PDFで20ページにわたる政策の中で、日本共産党は

「気候危機の打開─原発即時ゼロ、石炭火力からの撤退」に続いて、
「再エネの大量普及」を謳っておられます。

再エネ推進のアクセルを踏もうとしているのか、ブレーキをかけようとしているのか、
その点が判然としないままに今回の条例案に反対しようとする姿勢は、
「反対のための反対」と思われても、致し方ないのではないでしょうか。

いや、そうではない、本気で反対討論の内容を主張するのだというのであれば、
私だったら修正案を出すべきと主張しただろうなと個人的に感じた次第です。

また、本条例に違反した場合には、FIT認定の取消の可能性が生じるため、
事業者に対する指導という観点からみても、実効性が格段に向上することになります。

現在の太陽光発電事業の問題を指摘されるのであれば、
一刻も早く条例を施行して、県が不適切な事業者に対して実効力をもって指導できるようにすることが、
我々議会の役割ではないでしょうか。

反対討論の内容に賛同する議員が多数となり、本条例案が否決されたならばどうなるか。
条例案に反対をされる皆様の姿勢は、いたずらに問題を先送りしようとするものとも言え、
誠意ある対応とは到底思えないのであります。

さらに、ここで私が申し上げるまでもなく、
今回の条例案については、パブリックコメント等の所定の手続きも経ながら、
これまでも所管の常任委員会に、定期的に報告がなされておりました。

その上で、先ほど環境福祉委員長から報告のあったとおり、賛成多数で可決すべきものと決しております。

本日お集まりの議員の皆様におかれましては、大所高所からの御判断をお願いするものであります。
現時点で反対の立場をとっておられる議員におかれましては、
いま一度、お考えいただき、賛成をしていただきますよう、心よりお願い申し上げます。

今からでも遅くはありません。

以上、縷々申し述べてまいりましたが、
改めて、議員各位の御理解と御賛同をお願い申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。

御清聴、誠にありがとうございました。

(第4313号 令和4年7月6日(水)発行)