難局にあたり、リーダーに必要な「五知」
昭和時代の歴代首相の指南役と言われた、
安岡正篤の書籍に「安岡正篤活学一日一言」があります。
そのなかで、「五知」について以下のように記されています。
これは宋の時代の李鐸という人物によるものです。
どれも難しい五つの要素ですが、
日々の修養が大事だと感じます。
──────────────────────
【引用ここから】
世に知者は多いが、
時を知ること。
難を知ること。
命を知ること。
退を知ること。
足るを知ること。
五知を養い得て、
始めて能く難局に当ることができる。
五知先生伝(宋初の賢人李鐸・宋史同伝)
【引用ここまで】
──────────────────────
「五知」という宋の賢人・李繹の『五知先生伝』に出ている言葉です。
「時を知る」。
タイミングがよいとはどういうことか。
時流はどうなっているか。
間合いが大事だということですね。
「難を知る」。
困難を知ること、問題を知ることによって、
難局に当たり、物事を治めていくことができるのでしょう。
「命を知る」。
自らの使命は何か。自らに天が課された命の使い方とは何か。
ちなみに「知命」は五十歳のことを指します。
自ら知るということ。
「退を知る」。
起業家は何事も前向きに進む人が多いですが、
ここまで来たら撤退ということを決めている人が成功しているといえます。
いくつもの失敗を重ねて、撤退ラインが見えているのでしょう。
「足るを知る」。
老子に「足るを知る者は富み、強めて行なう者は志有り」とあります。
四字熟語では「知足者富」。
力が有る者は他人に勝てるが、本当の強さが有る者は自分自身に勝つ。
満足することを知っている者は心が豊かであり、努力を続ける者はすでに志がある。
この「五知」を養い得て、
リーダーははじめて難局に立ち向かうことができるのだ、
ということですね。
このコロナ禍、日々、困難が多い時代であるとも感じますが、
難局に当たっての「五知」を知ると、
今も昔も変わらず、困難が山積しているのだなあと。
単に知識を得るということだけではなく、
こうした「五知」についても知っておくことが大事だと感じます。