東北大学大学院における令和元年度講義が終了しました ─「情報技術経営論」講義の内容と受講者の感想を公開します!その2
今年も平成31年4月から令和元年8月にかけて、
毎週月曜日に、
私、渡辺勝幸は、東北大学大学院情報科学研究科
(https://www.is.tohoku.ac.jp/)において、
非常勤講師として、情報技術経営論の講義をしました。
今年でこの講座を持つのは早いもので6年目となりました。
この講義を受け社会に巣立って行った方々もたくさんいますし、
Facebookなどで引き続きつながってくださっている卒業生の方もおり、
その活躍が楽しみです。
なかには起業した方もいらっしゃいます。
今年の履修者は37名。
履修者のほぼ全員が講義を受けていました。
私がこの4か月間講義した内容と、
大学院生の受講しての感想を以下の項目で書いていただきましたので、
「起業家教育」をテーマに格闘している私の活動を、
みなさんにシェアしたいと思います。
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください。
この講義は、初回講義において受講者全員に
メールアドレスを登録してもらい、メーリングリストを作成しました。
このメーリングリストを使って、
講義の週の金曜日までに、
1、講義において気づいたこと【気づき】
2、その気づいたことから自分は何を実践するか【置換え】
を毎週提出していただきました。
平成31年度シラバス 情報基礎科学専攻
【情報技術経営論 Management of Information Technology】
1学期 (月) 10:30-12:00
授業の目的・概要及び達成目標等
授業の目的
起業家学。会社の作り方、ゼロから事業はいかにしてつくられるか、起業成功のエッセンスを学ぶことにより、ビジネスで成功する極意を習得し、受講者が修士終了後社会に出たときに即戦力として活躍できることを目的とする。
到達目標
情報科学を基礎として起業することに理解を深める。
講義カリキュラムは以下の通りで行いました。
第1講 4月8日 オリエンテーション・起業には何が必要か
第2講 4月15日 起業家ゲストスピーカーその1「日本と世界を繋ぐビジネスクリエーター! 中小企業の世界進出支援事業」 KM International Trading & Consulting 中 正宏 代表
第3講 4月22日 起業戦略と新規事業立案戦略ー6W2H
第4講 5月13日 起業家ゲストスピーカーその2「家事代行サービスの可能性と私の履歴書」 株式会社 IDENTITY 野地数正 代表取締役
第5講 5月20日 起業支援政策の形成過程ー安倍政権の成長戦略とは
第6講 5月27日 ビジネスは問題から生まれるー問題把握、現状分析と客観視
第7講 6月3日 どの会社にも必ず起業家がいるー起業家の歴史
第8講 6月10日 起業家ゲストスピーカーその3「社会課題とビジネスをつなぎ持続可能な地域づくりに貢献するビジネスモデル事例」 株式会社ラポールヘア・グループ 早瀬 渉 代表取締役
第9講 6月17日 事業計画を『つくる』その1(ワークショップ)
第10講 6月24日 値決めは経営・ビジネスの基礎、人事管理ー起業がうまくいくチームは『桃太郎』
第11講 7月1日 起業家ゲストスピーカーその4「人生を変えるエクササイズ!コンプレックスから生まれた起業ストーリー」 パーソナルトレーニング スタジオ・ラヴィ 山本志乃 代表
第12講 7月8日 起業家ゲストスピーカーその5「テロワージュ宮城」 株式会社 仙台秋保醸造所 毛利親房 代表取締役
第13講 7月22日 事業計画を『つくる』その2(ワークショップ)
第14講 7月29日 公益経済と共通価値の実現(ポーターの経営論)
第15講 8月5日 プレゼンを学ぶ
第16講 8月8日 【最終講】事業計画発表
■成績評価方法及び基準
レポートで評価する
■教科書、参考書
資料を配付する予定
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【Jさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
私は工学の知識しかなかったため、
経営に関する知識が欲しいと思いこの講義を受講しました。
価格設定やプレゼン手法、事業計画の作り方のような
具体的な事柄について学ぶことができました。
特に、事業計画作成の講義で具体的な事業計画を作るためには
数字を重要視するというのがとても勉強になりました。
情報技術経営論で学んだ知識は今後の人生でとても役に立つと考えました。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第7講】
最も印象に残っている講義は第7講の「どの会社にも必ず起業家がいる」という講義です。
難しいからこそ挑戦するという起業家の精神を学び、
社会貢献の重要さに気づかされました。
身の周りの全ての会社には起業家が存在し、
社会的に需要があるからその会社が存在しているということを学ぶことができました。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください。
今後の人生で起業と縁があるかどうかは分かりませんが、
情報技術経営論の講義で得られた知識を自分の研究などに活かしたいです。
また、起業家の精神は起業家だけではなく、
自分自身の今後の生活にも必要な精神だと考えました。
人生で辛いことや困難に直面した時は起業家の精神を思い出したいです。
【Kさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
MLを使うことで講義の課題を提出し,
各々が提出した課題の内容を閲覧できることが面白いと思った.
また,講義に実際に起業した方々を招いて,公演していただけたことは
私にとって非常に良い経験だったといえる.
起業した方々の話を聞けることは滅多にないものであるし,
事業内容を知ることができ新しい発見を得ることができてよかったと感じた.
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第12講】
第12講の株式会社 仙台秋保醸造所 毛利親房
代表取締役による「テロワージュ宮城」という講義が特に印象に残った.
私自身お酒が好きであるが,仙台市にワインの醸造所があることを知らず,
是非一度訪れてみたいと感じた.
しかし,話を聞いてみて魅力的であると感じたが,
今まで知らなかったのは非常にもったいなかったと感じた.
どれだけ良いものを作っても,やはり周囲に知ってもらうことで価値が生まれると思うので,
自分の研究に関しても分かりやすく発信していくことを意識していこうと第12講で強く感じた.
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
起業するしない関係なく,自分の身の回りの環境の変化に気付けるように
意識していきたいと思う.
なぜなら,視野が狭いと新しい発見や知見を得る機会が減ってしまい,
自ら成長するチャンスを失うようなことは無いようにしたいからである.
また,周囲に目を向けることができれば,
自分を助けてくれる人やものに気づくことができるようになり,
自然と謙虚になり感謝ができるようになると思う.
これらのことを忘れないようにして,かつ受け身にならないよう
目的を達成するために貪欲に自ら行動していきたいと思う.
【Lさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
私は将来教員を目指す人間として,
将来の子ども達にも起業家精神というものがきっと必要になると思い,
また私自身も一人間として,その精神のいろはを学んでおきたいと考えたのが,
この授業を受講した本来の目的であった。
全15回以上の講義を受け,起業家精神についてはもちろん,
起業家の持つべき資質や今までの起業家が大切にしてきたことなど,
私が生きたり働いたりしていく上で必要な考え方や在り方を学ばせていただいた。
何かのために誰かのために本気になれること,
ならなければならないことを今後見極め,取り組んでいきたい。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第1講】
全15回の授業それぞれに印象的であったが,
私はやはり第1回目の講義の「迷ったらやらなきゃ」という言葉が今でも心に残っている。
当時宮城県に住んだばかりでまだまだ近くの地名すら知らなかった私だが,
社会勉強のために『消防団』に入ってみたいと思い迷っていた私を,
その言葉が後押ししてくれることになった。
今は大学院生の傍,八木山消防団の一員として地域の祭りごとに参加させていただき,
迷った時にやっておいて良かったと感じている。
今後も迷ったら前に進んでいきたい。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
これからの人生,様々な困難が立ちはだかる時も,順風満帆の時も,
きっと今回学んだ起業家精神が大切になってくるはずである。
ただまだまだ勉強不足で実践的な経験のない私たちには,
起業家精神を心の中に維持させておくことが大事になる。
全15回のノートやメールをきちんと保管し,
私が社会の一員として働き出るようになってから再び振り返れるようにしておきたい。
そうして「迷ったらやる」を心に,今後前に前に進み続けていきたい。
【Mさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
情報技術経営論を通して,経営に必要な知識や方法を知るほかに,
すべての事を行うには,何事も意志がと感じる力が大事だということを改めて学べました.
また,実際の起業家の話やワークショップを通じて,
先を見る大局観,綿密な計画性も重要であると同時に,
もっと鍛える必要があると感じました.
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第1講】
私が最も印象に残っている講義は,
第1講の「オリエンテーション・起業には何が必要か」についてです.
理由は,「起業を行うには志が必要である.」という言葉と
物事を行うための力と志の関係が非常に興味深かったからと同時に,
今後の自分に最も必要なものであると感じたからです.
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
この講義を通じた僕の「置き換え」は,
「自分の志を見つめなおすことを心掛ける」ことである.
今後の人生を生きていくうえで,先を見る大局観,綿密な計画性を鍛える必要があるが,
そのための原動力の源である志をしっかりと持ち,蓄えていく必要があると考える.
講義より,過去の起業家は大病や逆境を多く経験しており,
それを乗り越えてさらに成長していると学んだ.
僕は,彼らがこの逆境の時にこそ自分の志を見つめなおしてさらに大きくしたのだと考える.
このことから,自分自身を見つめなおして逆境に陥った時こそ,
自分から目を逸らすのではなく,自分の志を見つめなおし,
大きくすることでさらに活躍できるよう心がけていきたい.
【Nさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
今まで、大学の授業でグループワークなどをする機会が少なかったため、貴重な経験ができた。
この授業でグループワークをやったことによって、
就職活動のグループディスカッションを円滑に行うことができた。
また、この授業を受ける前は起業についてのイメージがあまりなかったが、この授業を受けることによって起業家の皆さんの考え方に触れることができ、起業が少し身近なものになった。以上のことから、ある程度自分の活動に役に立ちつつ、今後の人生の思考を助ける一助になったと感じた。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
印象に残っている講義【第4講】
この授業のなかで野地さんのエピソードが最も印象的だった。
野地さんは普通の人ではなかなか返せないような借金を抱えながら、
エネルギッシュに自分の事業を行っていることに感銘を受けた。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
この授業で学んだことで印象的であったのは、失敗からの立ち直りとCSVの考え方である。
この2つは起業をするしないに関わらず、
今後の自分の人生に活かしやすいと感じたので積極的に行動していきたいと考えている。
【Oさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
渡辺先生による座学だけでなく、実際に起業している方々の講演を聞くことにより、
起業することや実際に行う事業について多角的な視点から考えることが出来、
多くのことを学ぶことが出来ました。
また、他の受講者の方々の意見・感想をMLを通して知ることが出来たので、
非常に刺激的な講義でした。
さらに、事業の計画と発表を行うことで、企画・立案の仕方や事業内容の落とし込み、
資金調達・運用方法など授業で得た知識を活用し、
事業立ち上げまでの一連の流れを経験出来たことも、非常に有意義なものであったと思います。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第14講】
私が最も印象に残っている講義は第14講の「公益経済と共通価値の実現」についてです。
最近の企業が、自企業以外の利益を考慮した事業を行うようになっていることを
ぼんやりと感じていたのですが、それ以上を深く考えておりませんでした。
しかし先生の授業を聴き、裏にポーターの経営論があることを知り、
また世界的に持続可能な社会を目指している時代背景を鑑みると、
とても自然な流れであるなと納得したことが印象に残っています。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
この講義を受けて、私はこれからの人生で「あらかじめ計画すること」を
もっと心がけて行動していきたいと思いました。
私はこの講義で、様々な事例を通して計画を立てることの重要性を学ぶことが出来ました。
計画を立てることで、今どういう状況にあるのか、
自分は何を持っていて何が足りないのかということを客観的に見つめることが出来、
そこから何が必要か、何をするべきかを導き出せるということを知ることが出来たので、
実際の生活でも実践して、悔いのない人生を送っていきたいと思いました。
また、計画を立てる上で必要となる問題分離の手法や、
実際の問題解決手法について色々と知ることが出来たので、
それらの知識も生かして、日々を過ごしていきたいと思いました。
もう1つ、自分1人だけではなく周囲の人も利益を得ることが出来るような手段・方法を考え、
実行することも心がけていきたいと思いました。
4人の起業家の先生方の講演から先生方が実際に行なっている事業を知り、
顧客を大切にしている事業の素晴らしさや、社会へ貢献することの重要性を学びました。
さらに講義の中で、そういった事業が持続可能な社会を実現するのに良い手段であることも学びました。
今回の講義では事業が主体となっている場合について考えましたが、
これらの考え方は人間関係においても同じなのではないかなと私は思います。
ですので、みんなが利益を得られるような行動をとることも意識して、
今後の生活を送っていきたいと思いました。
【Pさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
私は起業をしようという意思はありませんでしたが、
企業の成り立ちなどを知ることが将来の就職活動や
実際に働き始めてから役立つだろうという期待を持っていました。
渡辺先生も私たち学生が卒業してから即戦力となれるようにということを仰っていましたが、
講義の内容はこれから約1年半の修士学生としての学生生活でも
非常に役立つ考えや知識で溢れているように感じました。
大切な考えを学べるのはもちろん、
それを実践してきた人のエピソードを聞くと非常にモチベーションが高まりました。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第2講】
私が最も印象に残っている講義は第2講の中さんのお話です。
中さんは現在までの人生の中で上手くいかなかった時期も含めて、
力強く自信を持ってその詳細を私たちにお話しして下さいました。
就職や研究のことで色々と悩むことの多い時期ですが、
中さんのお話を思い出すとそんな自分の気持ちが少し落ち着くような気持ちがします。
決して上手くいことだけが人生ではないし、
上手くいかないことも自分の糧になるということを身に染みて感じました。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
これから取り組む研究や就職後の仕事が常に上手くいくということはおそらくないと思います。
そんな時にその時間が決して人生の無駄な時間ではなく、
将来の糧になる可能性があるということを意識していきたいと思います。
目の前の結果に過度に執着するのではなく、
その経験が未来の自分にどのような影響を及ぼすかまで考えて
日々の活動、出来事を捉えていきたいと思います。。
【Qさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
この講義を受講するまでは、起業というものは自分とあまり関係のない、
遠い存在のように感じていた。
しかし、講義が進んでいく中で起業に必要な現状解析やプレゼンテーションの手法などは
普段の自分の生活にも役に立つものが多く、参考になることが多かった。
また、講義を受講し終わってから、「起業家」というのは特別なものではなく、
一つの職業の選択肢として今後持っておきたいと考えるようになった。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第1講】
第1講の「オリエンテーション・起業には何が必要か」が最も印象に残っている。
この講義の中で志や情熱の話を聞いたが、これらのメンタルの部分が起業だけではなく、
物事を完遂するには必要不可欠なのだととても思ったからだ。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
第1講の講義中でも扱われていたが、
「自分を磨くこと」と「世の中の役に立つこと」を一致させるのは大事だと思う。
もしモチベーションや情熱が低下してしまったときでも、
それが社会の役に立っていると思うといくらかモチベーションを取り戻せると思うからだ。
今やっている研究だけでなく、今後働いていく中でも
自分のやっていることがどのように社会に活かされているかを常に意識していきたい。
そして、高い情熱を持ち続け、ワクワクしながら生活していきたいと思う。
【Rさんの講義の感想】
1、この情報技術経営論を受講しての全体の感想
この講義を受講する前は、ビジネスを考える上では収益性ばかりが重要なものと思っていたが、
この講義を受講し、まず大事なのは「社会問題解決」や
「大衆への貢献」であると考えが改められた。
2、最も印象に残っている講義(第○講と記してください)とその理由
【第6講】
先に述べたように、社会問題などからビジネスは生まれるものであり、
その過程や仕組み、具体例を学ぶことができ面白かった。
3、この講義を受けて、自分がこれからの人生をいかに生きていくか実践の「置換え」を表明してください
今後生きていく上で、「人への貢献」を常に意識して行きたい。
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今年も熱心に多くの受講生が取り組んでくれました。
大学院生の感想は、次回に続けます。