「新嘗祭」と食料安全保障モデルの構築

 

本日、11月23日は「新嘗祭(にいなめさい)」です。

「新」は新穀を、「嘗」はお召し上がりいただくことを意味し、
収穫された新穀を神に奉り、その恵みに感謝し、
国家安泰、国民の繁栄をお祈りする日です。

この新嘗祭は、毎年11月23日、
宮中を始め、日本全国の神社で行われています。
宮中では天皇陛下が自らお育てになった新穀を奉るとともに、お召し上がりになります。

自然の恵みに感謝しながら、
こうした伝統をつないできたわが国の歴史にも心から感謝したいと思います。

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しかしながら残念なことに、
わが国の伝統文化の基盤でもある農業は、
現在大変厳しい状況にあります。

「強い日本をつくる」ための一つの政策の柱は、
「食料自給率の向上」だと私は考えています。

現在日本の食料自給率は、令和5年度概算値カロリーベースで

【約38%】。

およそ6割は海外に依存しているというのが現状です。
いざ、周辺諸国で危機があったりして、
シーレーンが危うい状況になれば、

日本人が毎日ご飯を食べている3食のうち2食は、
なくなってしまうおそれがある。
そんな計算もできるわけです。

実際の生産ではそうならないでしょうし、
外交努力により一定程度の食料自給は維持できるものと思いますが、
私たちが食べるものを確保するということは、
安全保障の基本であると思います。

ちなみに、世界各国の現状は以下の通りです。

アメリカ 124%
ドイツ  80%
オーストラリア 173%
ニュージーランド 194%
中国   66%
インド  59%
韓国   49%

各国の統一基準がないようですので、
バラバラな計算となる数字が出ていますが、
それでも、日本の食料自給率が高いとは言えないようです。

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今後、わが国が食料自給率を確保、向上していくためには、
現在の農業政策に加え、野心的な政策提案が必要であり、

これまでも宮城県議会の議会質問等で取り上げてきましたが、
県政・国政そして仙台市と連携した新しい「食料安全保障モデル」を提案していかなければならないと思っています。

日々、農業関係の皆さんと意見交換をしていますが、
農政に関する御提案やご意見がありましたらお聞かせいただけましたら幸いです。

しかし一番大切なのは、私たち一人ひとりが、
わが国の伝統文化を大切にしながら、

おいしいご飯を食べつつ、
地域でとれたものを地域で食べるという、
あたりまえの食生活を大切にしていき、
子供たちに伝えていくということなのだろうと思います。

「米は文化であり、国家の根幹である」

という考え方を基本として取り組みつつ、

みんなが健康に、そして元気になる、
おいしいごはんをしっかりと食べていきたいものです。

 

【強い農業をつくる
ー仙台都市農業の再興と地産地消の加速により食料安全保障モデルを構築】

1 高収益米・プレミアム米ブランド戦略
・「ササニシキ・ひとめぼれ・だて正夢」を核に、外食・輸出・健康志向(低GI、特別栽培)ごとにブランド再設計。
・JA・米卸と県による統一プロモーションを実施。
・ホテル、観光施設との「宮城米採用」連携事業。

2 米の需要創出:学校給食・公共施設の100%県産米化
・全市町村の学校給食米を「100%宮城県産」に統一。
・福祉施設・県立病院・県庁食堂の県産米使用義務化。
→ 米需要の安定確保に直結。

3 仙台市宮城野区・若林区・泉区を中心に、仙台市近郊人口集積地周辺の農地を「都市農業保全エリア」として指定。
・地域野菜・直売・6次産業化を促進。

4 都市型農業へのスマート化投資
・都市近郊で導入しやすい植物工場、ハウスの自動環境制御、ドローン農薬散布などに県補助。
・仙台圏の物流利点を活かし、コンビニ・スーパーへの直納体制を構築。
→ 地元野菜の供給量増、輸入依存の縮減。

5 半農半Xモデルの宮城版制度化
・都市部で働きながら農業を継続できる「パラレル就業」制度を創設。
・県内企業と連携し、農業繁忙期の時短勤務やリモートワークを促進。
→ 農地維持と新担い手確保の両立。

6 若手就農への5年間伴走支援
・農業機械導入補助(ドローン・自動走行トラクター)。
・新規就農者の住宅支援や技術研修の強化。
・学校給食農家とのマッチングで安定収益を確保。

7 米・飼料・加工用作物の地域循環強化
・宮城県版「地域飼料センター」を設置し、稲わら・飼料米を活用。
・畜産業の輸入飼料依存率を引き下げ、県内循環を拡大。

8 担い手確保のための「一定程度の所得補償の恒常化」
・新規就農者への初期投資補助(機械・住宅)を5年間継続支援。

9 戦略備蓄の拡充(穀物・飼料)
・輸入途絶を想定した中期備蓄(6か月〜1年)。
・飼料の国家備蓄制度の創設。

10 災害に強い生産・保管・物流システム
・冷凍・常温の農産物流通拠点を強化(仙台東部道路・三陸道沿線)。
・非常時の米・野菜・飼料の備蓄計画を県レベルで整備。
→ 東日本大震災の経験を踏まえた「強靱化モデル」。

11 物流の強靱化(低温物流・港湾の複線化)
・輸入途絶や自然災害時の代替ルート確保。
→ 「つくったのに運べない」リスクを排除。

12 気候変動対応の新品種育成
・耐暑性コメ・耐病性大豆など、将来の収量リスク軽減。

13 宮城米の輸出体制の再構築
・台湾・シンガポールをはじめ東南アジアや欧米豪向けブランド米輸出の強化。
・清酒・米菓・米麺など米加工品の海外展開を支援。

 

 

(第5549号 令和7年11月23日(日・勤労感謝の日))