宮城県議会大震災復興調査特別委員会で県内調査その2ー亘理町、東松島市、気仙沼市、南三陸町を訪問
3月22日から24日にかけて、
宮城県議会大震災復興調査特別委員会の県内調査で、
被災自治体を訪問し、復興の現状についてお話を伺ってまいりました。
22日名取市、山元町、岩沼市
23日亘理町、東松島市、鮪立漁港(気仙沼市唐桑)
24日気仙沼市、南三陸町311メモリアル
各自治体における復興の現状と課題について、
非常に有意義なお話をたくさん伺うことができました。
「被災者支援、心のケア・復興について」
「災害公営住宅の現状について」
「東日本大震災の伝承への取組について」
「福島第一原発処理水放出による風評被害等の影響について」
「自治体が考える課題等について」
亘理町 山田周伸町長はじめ町議会、町幹部の皆様
東松島市 あおい地区の小野竹一会長はじめ市議会、市幹部の皆様
鮪立漁港 県気仙沼地方振興事務所の皆様
気仙沼市 菅原茂市長はじめ市議会、市幹部の皆様
南三陸町 南三陸町311メモリアル
各市町議会議長はじめ議員の方々、
市町の職員幹部の方々にご同席いただき、
復興の状況について詳細にご教示いただきました。
ハード面での復興は完了してきていますが、
被災した地域においては連動して様々な課題が生じてきており、
阪神大震災の復興は、25年とも30年とも言われていますが、
12年経った現在においても、あるいはだからこそ、次の課題が生じているとも感じられました。
人口減少やコロナ禍は全国的な課題ですが、
被災地においては複合的に課題が先進的になっている状況もあります。
国の支援だけではなく、防災という観点等からみて、
モデル的に取り組むべきテーマがたくさんある、
そうであるならばやはり国を挙げて、県を挙げて、
取り組んでいかなければならないと感じました。
亘理町では防災倉庫整備事業も進んでおり、
備蓄品の整備など次の災害に備えた動きが印象的でした。
東松島市では、被災以前からまちづくりに熱心な自治体でしたが、
あおい地区の住民と行政の協働まちづくりが震災後いかに進められたか、
また現在の課題についてもご教示いただきました。
気仙沼市唐桑の鮪立漁港では、復興が進んだとはいえ、
ハード面での復興がまだ完了していない現場を見てきました。
この漁港は、有名な唐桑の「つなかん」が目の前にあり、
美しい景色が広がっています。
渡辺謙さんが語りで出演した映画化もされていますので、
ぜひ関心ある方にはご覧いただきたいと思います。
映画「ただいま、つなかん」
⇒ https://tuna-kan.com/
気仙沼市では、菅原市長はじめ市議会の方々からも活発にご意見を賜り、
やはりコミュニティの再生・維持には難しいものがあることを感じました。
南三陸町では昨年10月に開館した、「南三陸311メモリアル」を訪問、
ラーニングプログラムを体験しました。
このラーニングプログラムは自分自身のこととして、
自然災害について学び合う南三陸311メモリアルのメインコンテンツ。
住民の証言映像をご覧いただき、
「もし自分がそこにいたら、どう考え行動するか」をまわりの人と対話しながら考えます。
このメインコンテンツは、南三陸町の町民90人に80時間のインタビューをしてつくられたものとのことで、
防災という観点からも、議会や行政関係者の皆様には、
ぜひ全国から訪問して体験してほしいと感じました。
またクリスチャン・ボルタンスキーの現代アートや、
隈研吾さんの建築など、
視察や教育旅行としても充実した内容になっているものと感じます。
さんさん商店街では、写真家佐藤信一さんにもひさしぶりにお会いすることができました。
3日間県内被災地をくまなく回るハードスケジュールでしたが、
ハード面での復興だけが復興ではないということを改めて感じました。
とはいえ、ここからの課題は、おそらく被災地以外の方々にはわかりにくいものとなり、
全国共通の課題が、被災により複合的に悪化しているということを、
宮城県として国に対して訴えていかなければならないと感じます。
同時に、課題先進地であるだけではなく、
防災という観点では全国の行政のモデル的存在になることができるという可能性も感じました。
「備え」をどう考えるか、
全国の地方議員の同志のみなさんにも、
宮城県の被災市町の取組をぜひ共有していきたいと思っています。
お忙しいところ、県内調査の機会をいただいた皆様に、
心より感謝申し上げます。
(第4576号 令和5年3月26日(日)発行)