宮城県議会地域再生調査特別委員会の県外調査で、北海道函館市、厚沢部町、栗山町を訪問しました

令和6年5月27日から29日にかけて、
宮城県議会地域再生調査特別委員会の県外調査で、
北海道函館市、厚沢部町、栗山町を訪問しました。

メンバーは以下の通りです。

委員長 松本 由男 (自由民主党・県民会議)
副委員長 佐々木 奈津江 (みやぎ県民の声)
委員 天下 みゆき (日本共産党宮城県会議員団)
委員 伊藤 和博 (公明党県議団)
委員 阿部 眞喜 (21世紀クラブ)
委員 菊地 忠久 (自由民主党・県民会議)
委員 渡辺 勝幸 (自由民主党・県民会議)
委員 佐々木 賢司 (自由民主党・県民会議)
委員 佐々木 幸士 (自由民主党・県民会議)
委員 中山 耕一 (自由民主党・県民会議)

●宮城県議会地域再生調査特別委員会県外調査一日目。
「函館市西部における空き家活用による地域活性化について」(函館市役所)

函館市西部地区は、わが国最初の国際貿易港として
海外に門戸を開いた函館発祥の地とされ、

異国情緒あふれる歴史的な町並みで有名ですが、
北洋漁業の衰退により造船業など主要産業が衰退、
人口減少、空家・空き地の増加、老朽家屋の放置が進んでいました。

そこで函館市では、「函館市西部地区再整備事業基本方針」を策定、
居住と観光が融合した魅力あるまちづくりを目指しています。

そして民間実施団体として、

「株式会社はこだて西部まちづくRe-Design(通称:HWeR)」
⇒ https://h-we-r.com/

を設立し、まちづくりを進めています。

また函館市では、既存ストック活性化のため、

重点整備街区再整備事業
民有不動産再整備活用事業
公有不動産再整備活用事業

を重点的・計画的に実施、
新たな人材との協働により町会(町内会)活性化も進めているとのことでした。

●「伝統的建築物リノベーション施設見学」(aremokoremo「アレモコレモ」)

「古いから最先端 函館西部で広がる歴建リノベーション 投資呼び込む魅力とは<デジタル発>」
(北海道新聞 2024年4月18日 10:00(4月19日 12:13更新))
⇒ https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1000872/

1909年(明治42年)に建てられた、
旧守屋住宅と呼ばれるこの古家をリノベーション(大規模改修)して、

美容室、クラフトビールバー、お花屋さんなど、
ちいさなお店が入っていて人気を博していました。

最近の起業界では、「ちいさなお店」「スモールビジネス」が注目されています。

スペースがわずかなお店ほど賃料も安く、
補助金をうまく活用すれば軌道に乗るまでの期間が早くなります。

伝統ある古家をおしゃれに改修し、
若い世代の起業家がすてきなお店屋さんを立ち上げていました。

これはつくる仙台としても参考になる事業でした。

宮城県議会地域再生調査特別委員会県外調査二日目。
「保育園留学、ワーケーションでの空き家活用について」(厚沢部町役場、認定こども園「はぜる」)

保育園留学(株式会社キッチハイク)
⇒ https://hoikuen-ryugaku.com/

厚沢部町認定こども園はぜる
⇒ https://hazeruassabu.com/

「保育園留学」という単語を初めて耳にしましたが、

その単語を聞いても、どんなものなのか想像がつかず、
イメージもわきませんでしたが、実際に厚沢部町に行き、
町職員の方のご説明や保育士さんの熱い思いを聞いてみると、
なるほどこれはよいなと感じたところです。

「保育園留学」とは、

「どうすれば子育ても仕事もあきらめず、どちらも全力でできるだろう?」という子育て家族の気持ちと、
「人口減少が進む地域が持続可能であるためにはどうすればいいか?」という地域の声が出会って生まれた、地域と人生をつなぐ新しいまちづくり事業。
(株式会社キッチハイク)

家族でこの北海道厚沢部町で一週間、あるいは二週間暮らし、
親はワーケーションで仕事をし、
子供は保育園へ行き、預かり保育まで。

自然あふれる土地柄に、
子供たちの成長を促進する熱意を持った保育士さんたちがたくさんいらっしゃいました。

その内容についてテレビ番組でも取り上げられていましたので、
シェアしたいと思います。

【ミヤネ屋】首都圏の子育て世代に人気!特別な体験が盛りだくさんの ”保育園留学” その魅力とは?
⇒ https://youtu.be/I6EDYmvLj7U?si=BSezIm6OsCgl_kiv

厚沢部町としては、デジタル田園都市国家構想交付金や、
企業版ふるさと納税制度などを活用し、
町の既存の制度を組み合わせて、「保育園留学」を実現していらっしゃいました。

町の担当者の方と、東京の起業家の方の積極的な取組により、地域を再生していました。

●宮城県議会地域再生調査特別委員会県外調査三日目。
「地域活性化起業人制度等による空き家利活用について」(栗山町役場)

北海道栗山町はWBC日本、栗山英樹監督が苗字と町名が同じという理由で、
移住されたことで話題となった土地でもあり、

お笑いタレント、フォーリンラブのバービーさんの出身地でもあります。

札幌から約1時間、この栗山町でも空き家は増加しており、
令和5年に地域おこし協力隊の方が、
町内を三カ月間歩いて空き家の調査をしてくださり、
空き家データベースができたそうです。

空き家相談件数は令和2年度以降急増しており、
民間企業による空き家窓口「アキカツカウンター」を設置しています。

これは、地域活性化起業人制度、また地方移住支援窓口機能強化事業を活用しているとのことでした。

ここでは利活用事業に、栗山町出身のバービーさんにもご協力いただいているとのことでした。

「人気芸人バービーさんが地元・北海道で50万円の古民家を購入、町おこしに奮闘」
(ESSE ONLINE 2020/03/09)
⇒ https://esse-online.jp/articles/-/8045

近年の課題は、家財処分費用が高騰していること、
また相続放棄された物件への対応が厳しいとのお話がありました。
国として進めていかなければならない政策課題であると感じたところです。

また、栗山町では空き地空き店舗活用支援事業も進めており、
飲食店を中心に新たなお店を立ち上げる人も増えてきているそうです。

歴史的にみると、
1888年(明治21年)に、宮城県角田藩士の泉麟太郎が、
「夕張開墾起業組合」を設立し、7戸24人が阿野呂川右岸(角田)に入植。

1890年(明治23年)にはこの地が「角田村」となり、
現在の栗山市角田となっているのだそうです。

現在も宮城県角田市と栗山町は姉妹都市になっているのだそうで、
130年以上前の話ではありますが、
深いご縁でつながっていることを感じました。

北海道は広大であり、少子高齢化が進行し課題は山積しているとのことでしたが、
そんななかでも地域再生のために、特に若い世代の行政職員の方や、
都市部からやってきた地域おこし協力隊の方々、
そして起業家など、様々な方が熱く活動されていることを感じました。

困難を、逆境を、逆転の発想で、
力強く乗り越えていこうとする気概を感じ、
まさに北海道の伝統的な開拓精神をみんな持っていらっしゃるなと思いました。

宮城県も負けずに頑張っていきたいと思います。

(第5006号 令和6年5月29日(水))