宮城県議会建設企業委員会県外調査で、静岡県、愛知県を訪問しました

令和5年8月1日から3日にかけて、
宮城県議会建設企業委員会で、静岡県、愛知県を訪問しました。

メンバーは以下の通りです。


委員長 遠藤 隼人(自由民主党・県民会議)
副委員長 伊藤 吉浩(自由民主党・県民会議)
委員 佐藤 仁一(みやぎ県民の声)
委員 石田 一也(みやぎ県民の声)
委員 福島 かずえ(日本共産党宮城県会議員団)
委員 伊藤 和博(公明党県議団)
委員 渡辺 勝幸(自由民主党・県民会議)
委員 本木 忠一(自由民主党・県民会議)
委員 中山 耕一(自由民主党・県民会議)



●宮城県議会建設企業委員会県外調査一日目。
「水道事業におけるデジタル化や業務効率化に係る取組について」(静岡県)

工水及び水道事業のDXの推進、ということで、
浄水場等施設の維持管理についてデジタル技術の実装化を進めている静岡県の取組について伺いました。

道路には、水道だけではなく、下水、ガス、通信ケーブルなどが埋設されており、
管の正確な位置を確認するためには、実際に道路を掘削する必要があるのが現状です。

しかしやはり管路破損事故はどうしても起こっており、
これを防ぐためには管路の3次元点群データを取得する必要性が高まっているのだそうです。

静岡県では、管路台帳の3次元モデル化に取り組んでいるとのことで、
実際にスマホにアプリを入れて撮影、データを取り込んでいらっしゃいました。

「水道管路の3次元化検討イメージ動画」(静岡県デジタル戦略課)
⇒ https://youtu.be/pNf2ZBoyEgA


また、静岡県三島市の駿豆水道は、1立方メートル当たりの料金が36円とのことで、
全国2位で水道料金が安いのだそうで、インフラ料金の違いを感じます。
様々な取り組みを若手のデジタルに強い職員が工夫をして取り込んでいるようです。



●宮城県議会建設企業委員会県外調査二日目。
「AIを活用した道路点検システムについて」(愛知県田原市)


愛知県田原市は、
農業産出額全国第2位とのことで、道の駅も活況を呈していました。

この田原市では、三井住友海上火災保険株式会社と包括連携協定を結び、
官民連携DXによるAI道路点検サービスである、
「ドラレコ・ロードマネージャー」を実施しています。

公用車にドラレコを設置し、
その画像から道路の損傷状況の確認をAIが自動的に検出するというもので、
東京大学の大学発ベンチャー企業が開発したAI技術を用いて、
全国の自治体で初めて、田原市が実施しています。

まだ精度などに課題はあるようですし、
ほかにもさまざま課題はありそうですが、

民間車両の情報を使えるようになったり、
AIが学習を重ねていくと、精度も向上していくようです。

意外な取り組みではありますが、今後、こうしたデータの活用で、
行政の生産性も上がっていくのかもしれません。


●「衛星データを活用した水道管凍結注意マップや漏水調査について」(愛知県豊田市)

愛知県豊田市は、トヨタ自動車の城下町ですが、
この豊田市では、水道管凍結被害防止の取組について、
また、衛星画像を活用したAI漏水調査などについて伺いました。

従来は、路面音調調査を実施、これは職員に経験が必要であり、
調査に時間も要するものだったそうです。

ここで、ベンチャー企業が開発した水道管劣化予測ツールを導入、
管材質、使用年数、漏水履歴、そして土壌・気候・人口等のデータベースを組み合わせて、
水道管路の破損確率を解析、
衛星から放射する電磁波を分析して、漏水可能性区域を抽出、
効率的な漏水調査が可能になったとのことです。

豊田市ではJAXAベンチャーである、(株)天地人、フジ地中情報(株)と連携して、
こうした宇宙ビッグデータからこの実証実験を行ったのだそうです。



●宮城県議会建設企業委員会県外調査三日目。
「AIを活用した空き家の適正管理に係る自治体連携の取組について」(愛知県名古屋市 株式会社クラッソーネ)

空き家対策における公民連携実績について、
愛知県名古屋市の株式会社クラッソーネの取組について伺いました。
全国の自治体の連携協定を締結し、
空き家除却(解体)の促進に取り組んでいるとのことで、

宮城県では、名取市と色麻町で連携協定を締結しているとのことです。

解体費用シミュレーターをネット上で展開し、
空き家を所有している人が解体工事をする場合にどれくらいかかるのか、

また、空き家所有者への解体工事専門業者の紹介などを、
自治体と連携して行っているとのことです。


実際に空き家をどうしたらよいか悩んでいらっしゃる方はたくさんいると思いますが、
具体的に解体したときにどれくらい費用がかかるのか、
複数の解体工事専門業者さんに安心して見積もりを取れるという機会の提供はありがたいことですし、
不動産の利活用を迅速に進めていくことができますね。

さっそく、どんなものなのかシミュレーションを利用してみました。



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今回伺った取組は建設企業委員会で所管する事業の中でも、
デジタル実装社会における、どれも最先端の取組であり、
行政の側がリスクは多少あっても挑戦しようという意志を感じました。

そしてこうした新たな取組により失敗もあるかもしれませんが、
行政効率の改善や働き方改革、
そして何よりも新たな政策課題の解決策が見えてくるのだと思います。

大学発ベンチャーのように新たな知見を活かした事業を、
行政が連携して取り組むということはなかなかできるものではありませんが、
まだ眠っている社会的課題解決に有用な研究を、
今後どうやって行政につなげていくのか、この点も重要です。

宮城県には東北大学はじめ様々な大学という知の拠点がありますし、
研究を事業化し、また行政とどう連携していけるかを、
コーディネートしたり、キュレーターの役割を果たす方が必要ですね。


お忙しいところ、視察を受け入れていただきました皆様に感謝申し上げますとともに、
今回伺った調査内容を、今後の宮城県における政策立案に役立ててまいりたいと思います。

ありがとうございました。