相談する相手を間違えるな

人は毎日、いろいろな判断をしなければなりません。
仕事においてもそうですし、家庭においても、
食事をするにしても、娯楽をするにしても、
いろいろな判断を日々こなしているものです。

政治家や経営者になると、
特に大きな判断を迫られるということがあるのではないかと思います。

ビジネスをするなかで、上司として部下に対して、
判断をすることもあるのではないかと思います。

そこで判断をする際には、
最終的には自分自身の決断が重要なのですが、
その決断をするための「相談」もまた重要です。

ある調査によれば、「相談」によって受ける助言は、
発想に奥行きが生まれるだけでなく、
認知バイアスや自己正当化といった落とし穴を避ける上でも有用であるとわかっています。

そうであるからこそ、相談する相手を間違えるとたいへんです。

特にリーダーは、「彼の専門分野はこれ」とステレオタイプな分類をして、
幅広い知見を見落としてしまいがちになるそうです。

ジョン・F・ケネディ元大統領が、
対キューバでピッグス湾侵攻に失敗したのはその典型例と言われています。

ケネディは、当時の労働長官アーサー・ゴールドバーグに対して

「軍事分野の経験がない」

という先入観を抱き、意見を求めるのを怠りました。

しかし、ゴールドバーグは第二次世界大戦中にゲリラ戦を指揮した経験があり、
その経験をもとに、

「ゲリラ部隊は通常部隊への対応に関しては素人も同然である」

ということを知っていました。

しかしケネディは、この経験を考慮せず、
彼を「労働長官」としてしか見なかったのでした。

ケネディのような国際政治の事例だけではなく、
私たちの毎日の生活の中で、周りを見渡すと、
実は様々な経験や知識を兼ね備えた人々が周囲に沢山いたりするものです。

相談する相手は、
身近にたくさんいるものですね。

(第4388号 令和4年9月19日(月・敬老の日)発行)