宮城県議会経済商工観光委員会で県内調査 ー次世代放射光施設、アクアイグニス仙台、大沼旅館、サスティナビレッジ鳴子、ElevationSpaceを訪問
6月2日、3日、
宮城県議会経済商工観光委員会の県内調査で、
宮城県内の次世代放射光施設、アクアイグニス仙台、大沼旅館、
サスティナビレッジ鳴子、ElevationSpaceを訪問しました。
今回の県内調査において伺ったそれぞれが、
宮城県を牽引するさまざまな経済活動であることを感じ、
非常に有意義なお話をたくさん伺うことができました。
●「次世代放射光施設の現状について」(一般財団法人光科学イノベーションセンター・仙台市青葉区)
「次世代放射光施設」は、仙台市青葉区の東北大学青葉山キャンパスにあり、
国と地域、民間企業が出資して建設する世界最先端の研究施設となっています。
研究開発を生産性の向上に結びつけ、
オンリーワンのモノづくりを支援する「ナノまで見える巨大な顕微鏡」であり、
この財団では、企業と学術をつなぐ仕組み(コアリション)をつくり、活用を支援しています。
現時点ではまだ建屋しか完成していませんが、
この放射光施設は、令和6年には稼働する予定となっており、
世界最先端の学術研究と、企業のモノづくりが連携することによって、
産学のイノベーションが加速していきそうです。
次世代放射光施設プロジェクト
⇒ https://youtu.be/sctQRzjtmHY
●「アクアイグニス仙台の取組について」(アクアイグニス仙台・仙台市若林区)
アクアイグニス仙台は、私の地元でもある仙台市若林区藤塚にあり、
東日本大震災による集団移転跡地利活用事業により、
食・農・温泉の複合商業施設として、
今年4月21日にオープンしました。
アクアイグニス仙台
⇒ https://aquaignis-sendai.jp/
深松社長に、このアクアイグニス仙台設立の経緯も含めてご説明いただきましたが、
震災からの復興、にぎわいの創出としての観光戦略だけではなく、
地中熱などからエネルギーを地産地消していたり、
地元の食材を取りそろえた食の提供、
また被災した周辺沿岸地域のそれぞれの施設と有機的に連携しているほか、
コロナ禍で大きな打撃を受けた飲食事業に従事していた方々を積極的に採用するなど、
地域への貢献も大きいものがあると感じています。
●「湯治ワーケーションの取組について」(大沼旅館・大崎市鳴子温泉)
株式会社大沼旅館代表取締役の大沼伸治さん、
ブルーファーム株式会社代表取締役の早坂正年さんにご説明をいただきました。
旅館大沼
⇒ https://www.ohnuma.co.jp/
ブルーファーム株式会社
⇒ https://bluefarm.co.jp/
大沼さんからは実際にワーケーションをされている方の事例や、
テレワークに適した業種、どんな意識の方がワーケーションを考えているのか、
またワーケーションの課題についてもお話をいただきました。
実際に湯治ワーケーションをされている方のお話も聞くことができ、
イメージをつかむことができましたし、
うつ病予防や心身の不調改善にも適した手法であるとのことでした。
WiFi環境があれば、温泉地においても、
様々な業種で仕事をすることが可能な時代になっているということでもあります。
早坂さんからは、ブルーファーム株式会社の取組、
八百屋さんとデザイン事務所の融合したビジネスモデルから、
ローカルイノベーションスクールの取組など、
地域活性化の興味深い手法のお話をお聞かせいただきました。
富裕層へのマーケティングや海外進出については、
県の政策の伴走も効果的に生かされているように感じました。
「BLUEFARM VISION 2024」MOVIE
⇒ https://youtu.be/sAcO2gPHieM
つくる仙台としても、
何か大きなヒントをいただいたように思いましたね。
●「VESTAプロジェクトによる観光振興等の取組について」(サスティナビレッジ鳴子・大崎市鳴子温泉)
鳴子温泉もりたびの会
⇒ https://moritabi.org/
の皆さんにご説明をいただきましたが、鳴子の森林、温泉、自然をふんだんに利活用しながら、
エネルギー資源の有効活用、地域経済の活性化、まちづくりなど、
様々なテーマを融合させてエネルギーを生み出しているように感じたところです。
VESTAプロジェクトとは、
「豊かな森を造る×脱炭素×地域活性化」
ということで、木材のカスケード利用(木材の副産物利用、残材利用)により、
建築、家具、再生可能エネルギーという新しい産業を創出する試みでもあるようで、
実際に森林資源を生かした木の香りあふれる集合住宅や、
温泉を生かしながらも、木質チップボイラーを生かしたエネルギーの再生利用など、
そして体験プログラムと温泉地、飲食店などを組み合わせた、
新しいツーリズムも生み出していて、
都市部ではありえないけれども、自然にあふれ充実した暮らしを送ることができる機会が、
すぐそばにあるように感じました。
●「小型宇宙利用・回収プラットフォームELS-Rの現状について」(東北大学総合研究棟・仙台市青葉区)
ElevationSpace
⇒ https://elevation-space.com/
再び東北大学を訪問し、
株式会社ElevationSpace代表取締役CEO小林稜平さんと、
東北大学の?原聡文准教授からお話を伺いました。
東北大発の宇宙ベンチャーですが、ここでは、
人工衛星内に複数の装置を載せ、宇宙実験や製造等を行うことができる小型宇宙利用・回収プラットフォームを開発。
宇宙の特徴である微小重力環境を活かし、科学的研究だけではなく、
地球では作れない高品質材料の製造なども行うことが出来るという計画。
「宇宙実験を100万円で可能にする」
という言葉はインパクトがありますが、
このベンチャー企業の事業がうまくいけば、夢物語ではありません。
具体的な宮城県への要望もいただきましたが、
東北大学?原研究室では、これまでに15機の人工衛星を研究開発。
令和8年のサービス提供をめざし、資金調達も進めているようです。
非常に夢のある事業計画ですが、
宇宙が身近になればなるほど、宇宙でのビジネスチャンスが激増してきますので、
現時点で宇宙空間で実験ができるとなれば、
この分野のチャンスも広がっていくのではないかと感じました。
他県でも宇宙産業への政策的取組が進んでいるようですので、
宮城県として何ができるか研究してみたいと思います。
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以上、二日間で非常に濃密な調査先ばかりでしたが、
未来を見据えた分野に先取りしてチャレンジをしている方が、
宮城県内にもたくさんいらっしゃることをあらためて感じました。
そして、グリーンやデジタル、SDGsの概念など、
次世代に来るであろう大きな波に対して、既に焦点を当てている方々ばかりであったなあとも感じました。
大きな波を目前にすると、どうしても否定的に捉えてしまったり、
そんなことは無理だと最初から考えてしまいがちですが、
チャレンジしている人がまわりにたくさんいると、チャレンジのハードルが下がったりもします。
宮城県ではそんな方々が増えているようにも感じますし、
これからどんどんみんなが挑戦していく、
そんな社会をつくっていかなければとあらためて思いました。
お忙しいところ、県内調査の機会をいただいた皆様に、
心より感謝申し上げます。
(第4280号 令和4年6月3日(金)発行)