決断とは決めて「断つ」
「虻蜂取らず」ということわざがあります。
二つのものを同時に取ろうとすると、
結局両方とも取れずじまいになる。
欲張りは損をする。
そんな意味です。
欲張りは損をするというのは子供でも知っているので、
強欲はよくないと普通は誰でも思うわけですが、
大人になると、
意外とこれが難しいものです。
AさんとBさんからのお誘いがあったとき、
どちらにもいい顔をしてしまう。
政治家でいうと選挙のときなどに、
A議員とB議員が争っているとしても、
どちらの顔も立ててお付き合いする。
国際情勢でいえば、
アメリカと中国が世界の覇権を争っているときに、
どちらの顔も立てて外交政策を進める。
どれもバランスが取れていて、
世界をうまく乗り切るためには大事なことかもしれません。
しかし、
最後はこれではだめなのだろうと、
最近思っています。
世界を動かすためには、
その世界が小さなものであれ大きなものであれ、
決断をすることが必要なのでしょう。
「決断」は「決めて断つ」と書きます。
何かを選び、何かを捨てる。
これが決断です。
バランスも大事ですが、
世界を動かすためには、
決断がどこかでなされなければならないのだと思います。
経営判断も、
政治判断も、
決めて断つことの連続です。
どちらにもいい顔をする、
のではなく、
AならAと選択し、決めて断つ。
それで敗れることもあるでしょうが、
世の中を動かすということはそういうことなんですね。
(第3611号 令和2年8月3日(月)発行)