応援とは何かについてあらためて学ぶ ーNHK朝ドラ「エール」と映画「チアダン」
私は高校時代、
応援団長を務めていました。
もう30年近く前の話ですので、
記憶に残っていないことも多いのですが、
自分自身の生き方の背骨の部分は、
「応援団から学んだ」と思っています。
つらいことも多く、思うようにいかないことも
たくさんあったように思いますが、
高校時代のすべてを応援団に賭け、
その後の人生においても応援団の看板を
背中に背負っている感覚がありますね。
ところで、この春から、
NHK朝の連続テレビ小説「エール」が放送されています。
このドラマは、福島県出身の作曲家、古関裕而と妻・金子を
モデルにしているとのこと。
作品名の「エール」は「応援」の意で、
東日本大震災から10年の節目を目前に「福島を応援したい」
との思いを込めて企画されたのだそうです。
⇒ 刑部芳則『古関裕而-流行作曲家と激動の昭和 (中公新書)』
ドラマの風俗考証をしているのは刑部芳則日本大学准教授。
今週のテーマは「紺碧の空」。
主人公の古関裕而は、
昭和6年に早稲田大学の応援歌「紺碧の空」を作曲しています。
そのときのいきさつが今週の朝ドラでした。
早稲田大学の応援団長がよかったですね。
「応援とは何か」
「応援に意味はあるのか」
いろいろ考えさせられる内容でしたが、
結局、
「誰かのために」
応援していくこと。そして、
「頑張ることはつながる」
ということが胸に刻まれました。
そしてさらに偶然ですが、
昨日の夜には、テレビで映画「チアダン」が放送されていました。
⇒ 円山 夢久『チア☆ダン 「女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」の真実 (角川文庫)』
実話ですので、この本も読んでみたいと思っています。
福井商業高等学校「JETS」をモデルとしたお話で、
チアダンスど素人にもかかわらず、
たった3年間で全米制覇を成し遂げたという実話をもとにした物語です。
しかしその道のりは決して順風満帆ではなく、
チームを率いた女性教師、チームの女子高生の汗と涙が感動を誘いました。
チアダンスもある意味で女性版応援団であり、
その演技に心を動かされますし、
一生懸命頑張るその姿はやはり人の心を強く揺さぶるなあと思います。
「エール」にしても「チアダン」にしても、
「誰かを応援する気持ち」
「心を一つにする気持ち」
「頑張る姿」
が、人を動かしているということをあらためて感じたところです。
新型コロナウイルス感染症の影響により、
応援団もチアダンス部も、
野球部もサッカー部も、
運動部だけでなく文化部も、
何もかもがこの数か月ストップしてしまい、
本来青春真っただ中のはずの若い世代のみなさんは、
不完全燃焼の思いで、今、いることと思います。
悔しくて涙を流し、
また、動くことができず悶々としている、
そんな方もきっと多いことでしょう。
しかし、何もできず悔しい思いを経験したことがあるほど、
動くことができたときの感動はひとしおなものです。
ぶつかる壁が大きいほど、
達成感は格別なものがあり、
自分の血となり肉となります。
学校が再開しても、
すぐにはもと通りにはならないかもしれませんが、
「頑張ること」の意味が、
今年はとても大きい年になるのではないかと思います。
「エール」や「チアダン」がこの時期に放送されたのは、
偶然のようで偶然ではないのでしょう。
どんな結果であっても、
動かしようのない壁が目の前に立ちはだかったとしても、
全力でぶつかっていく。
私の場合は高校生から年月を経てしまい、
体力も落ちてしまいましたが、
たとえ何歳になっても、
全力で頑張るという姿勢は大事にしていきたいと思うところです。
(第3539号 令和2年5月23日(土)発行)